内視鏡センター
内視鏡検査とは…
内視鏡検査とは、先端に小型カメラ (CCD) またはレンズを内蔵した太さ1cm程の細長い管を口あるいは肛門より挿入して観察する検査です。そして食道、胃、十二指腸や大腸の内腔面をおおう粘膜の変化を見つけ、その粘膜の一部をつまみ取り(生検)、その粘膜を顕微鏡により観察し、粘膜を構成する細胞の性格がよいか(良性)、悪いか(悪性=がん)を判定することが主な目的です。すなわち微少ながんを早期に発見することができる検査です。
医療機器や技術の発達により応用範囲も広がり、診断から治療までスムーズに行われるようになってきました。
内視鏡
胃の中
大腸の中
高松赤十字病院内視鏡センターの特徴
「消化器センター」がスタート
2018年4月から、消化器内科と消化器外科の連携を深めてより質の高い、切れ目のない診療を提供するべく「消化器センター」が開設されています。近年、消化器の分野でも内科と外科の領域がクロスオーバーしており、手術をする場合では、外科的治療を行うこともあれば、内視鏡の手術を選択できることもあります。また、LECS(腹腔鏡・内視鏡合同手術)のように、腹腔鏡と内視鏡との併用で、根治性と機能温存を兼ねた手術を行うことも増えてきました。
内科と外科で互いの情報共有を行い、スピーディーな対応に努めています。
内視鏡センターで行う検査・治療について
内視鏡センターでは、年間約8000件の内視鏡検査及び治療(上部内視鏡、下部内視鏡、超音波内視鏡、カプセル内視鏡、膵・胆管系内視鏡、内視鏡的粘膜剥離術、胃瘻造設術、気管支内視鏡、など)を行っています。また近年では内視鏡検査とは別に、胃食道逆流症に対する検査として食道内圧・pHモニタリング検査も行っています。
新しい内視鏡センター
2014年より中央診療棟が完成し内視鏡センターも移設して、面積も広くなりました。検査室4部屋、診察室4部屋、内視鏡TV室1部屋、大腸内視鏡検査前処置室、更衣室5部屋、リカバリー室、洗浄機(OER6)6台を所有しています。待合室と検査室ではクラッシック音楽などのBGMが流れ、開放的な空間で、居心地の良さにも配慮しています。
検査室
内視鏡TV室
洗浄室
大腸前処置室
待合室
リカバリー室
鎮静内視鏡について…
鎮静剤を使用することにより、疼痛や不快感を伴なう検査や処置を、少し眠った状態で受けることができる、鎮静内視鏡の予約枠を開設しています。
鎮静剤に対する反応は個人差が大きく、適切に緊張をやわらげ、苦痛を軽くできる反面、血圧が下がったり、呼吸が弱くなることもあります。安全のために検査後は1~2時間の安静が必要となります。
鎮静内視鏡を希望される方は、内視鏡検査の予約時に、担当医と十分にご相談ください。
楽に胃カメラを受けよう!
最近では細い内視鏡を鼻から挿入する経鼻内視鏡を施行することによって苦痛がやわらぎ、鎮静薬を使用しなくても検査を楽に受けることも可能となっています。
検査の目的によっては、経鼻内視鏡をお勧めできない場合もあるので、ご希望の方は胃カメラを予約する際に、担当医とご相談ください。
内視鏡機器の紹介
上部内視鏡 13本(経鼻内視鏡 4本、拡大内視鏡7本)
小腸内視鏡 2本
大腸内視鏡 7本(拡大内視鏡5本)
気管支内視鏡 4本
十二指腸内視鏡 2本
上部超音波内視鏡 1本
気管支超音波内視鏡 1本
カプセル内視鏡(小腸・大腸)
内視鏡機器の例
経鼻スコープ
口から管を通すのではなく、直径鏡5.8mmの細い管を鼻から通して、胃の内部をチェックします。口から入れる内視鏡に比べて、舌の付け根を押されても吐き気を引き起こすこともなく、検査中に会話をすることもできます。
拡大内視鏡
手元のボタンやレバーで、90~170倍までズームができ、精密な検査まで対応できるスコープです。モニターでの画像解像度も病変も見つけやすく、早期がんの発見にも効果が期待できます。
カプセル内視鏡
一般的な飲み薬のカプセルのひとまわり大きい程度(11ミリ×26ミリ)のカプセルに、超小型化カメラを内蔵。口から飲み込み、腸内を撮影していきます(小腸用・大腸用があります)。画像データーはリアルタイムに外付けの装置に送信され、排出されたカプセルは一度きりの使用で破棄します。肛門から管を通す内視鏡に比べて身体の負担もなく、アプローチしにくい小腸の観察も容易になりました。
超音波内視鏡
超音波(エコー)装置を持った内視鏡で、胃の裏にある肝臓やすい臓の検査に効果を発揮します。
身体の外からエコー検査をするよりも、より近くからアプローチできるため、詳細な観察が可能で、エコーよる断面図検査で病巣の深達度なども診断しやすくなります。
内視鏡機器の安全・安心な洗浄・消毒
当院では、内視鏡機器による感染防止を行うために、感染症の区別を行わず、 ガイドラインに準じた方法で洗浄・消毒・履歴管理を行っています。検査間の内視鏡洗浄は、検査直後に酵素洗浄剤を使用したベッドサイド洗浄、その後流し台で酵素洗浄剤に浸漬した状態でブラッシング洗浄を経て、自動洗浄消毒装置(約20分間)を使用しています。
ベッドサイド洗浄
ブラッシング洗浄
洗浄消毒装置での洗浄消毒
また、当院では内視鏡センターで使用した内視鏡機器だけでなく、院内で取り扱う軟性内視鏡についても、使用直後の洗浄手順(ベッドサイド洗浄)や搬送手順を整備し、全ての部署で統一した方法で実施しています。
そして、その後の洗浄消毒は内視鏡センターの専従者が行う、「洗浄消毒の一元化」を実施しており、患者さんに安全・安心して内視鏡機器を使用していただけるように努力しております。
マニュアル整備
気管支鏡貸し出しセット
搬送方法の統一
さらに、内視鏡機器の質の保証として細菌培養検査を定期的に行っています。
細菌培養検査
スタッフ紹介
スタッフ名 | 専門分野 | 認定医・専門医等 |
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主に胃腸疾患、胆膵疾患、消化器内視鏡 | 日本内科学会認定内科医、総合内科専門医・四国支部評議員 日本消化器病学会専門医・指導医・四国支部評議員 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・四国支部評議員 日本肝臓学会専門医 日本ヘリコバクター学会ピロリ菌感染症認定医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 |
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呼吸器内科 | 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医 日本呼吸器学会専門医・指導医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 |
関連スタッフ
看護師、臨床検査技師、臨床工学技師、看護助手、受付
(消化器内視鏡検査技師5名)
検査を受ける患者さんは、検査に対する不安と、その結果に対する不安を抱えています。患者さんの安全・安心をモットーに検査や治療の介助に努めております。患者さん一人ひとりに合わせた声掛けや背部マッサージを行い、少しでも安心・安楽に検査・治療を受けることが出来るよう、チーム一丸となってより良い検査環境づくりに力を入れています。
また、著しく進歩する内視鏡医療に対応でき、より安全で質の高い医療を提供するために、医師と看護師だけでなく、細菌検査や病理検体の取り扱いや医療機器の点検や整備等の専門的な知識や技術を提供できる、臨床検査技師や臨床工学技師、X線透視装置を取り扱う診療放射線技師、様々な前処置薬・鎮静剤等の準備や管理を司る薬剤師との多職種連携によるチーム医療にも取り組んでいます。(2024年から正式に「内視鏡センター」が発足しました。)