心臓血管外科
基本情報
スタッフ紹介
スタッフ名 | 専門分野 | 認定医・専門医等 |
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循環器、心臓血管外科 | 日本胸部外科学会認定医・指導医 日本外科学会外科専門医 三学会構成心臓血管外科専門医認定機構 心臓血管外科専門医・修練指導者 日本心臓病学会 心臓病上級臨床医(FJCC) |
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心臓血管外科 | 日本外科学会認定医・専門医・指導医 三学会構成心臓血管外科専門医認定機構 心臓血管外科専門医・修練指導医 胸部ステントグラフト指導医 腹部ステントグラフト指導医 |
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成人心臓血管外科、低侵襲手術 | 日本外科学会外科専門医 心臓血管外科専門医認定機構心臓血管外科専門医・修練指導者 日本ステントグラフト実施基準管理委員会胸部ステントグラフト指導医 (COOK TX2, GORE TAG、Medtronic VALIANT、TERUMO RELAY)、胸部ステントグラフト実施医(Kawasumi Najuta)、腹部ステントグラフト指導医 (GORE Excluder、Medtronic Endurant、Endologix Powerlink)、腹部ステントグラフト実施医(TERUMO TREO) 日本循環器学会認定循環器専門医 日本心臓リハビリテーション学会心臓リハビリテーション指導士 日本脈管学会脈管専門医 日本血管外科学会認定血管内治療医 日本経カテーテル心臓弁治療学会経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)指導医(Edwards SAPIEN) 浅大腿動脈ステントグラフト実施基準管理委員会浅大腿動脈ステントグラフト実施医 臨床研修指導医 日本医師会認定産業医 |
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心臓血管外科 | 日本外科学会専門医 日本DMAT隊員 |
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心臓血管外科 | |
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心臓弁膜症、虚血性心疾患、 胸部大動脈瘤(解離、真性)、 腹部大動脈瘤、 閉塞性動脈硬化症 |
日本胸部外科学会認定医・指導医 日本外科学会認定医・専門医・指導医 三学会構成心臓血管外科専門医認定機構心臓血管外科専門医 日本心臓血管外科学会特別会員 |
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学会認定施設
- 三学会構成心臓血管外科専門医認定機構規則に規定する基幹施設
- 胸部ステントグラフト実施施設
- 腹部ステントグラフト実施施設
概要
高松赤十字病院心臓血管外科は、2002年4月に開設されて22年が経過し、開心術総数は2,700例を超えました。スタッフ一丸となって、一人でも多くの患者さんに元気になっていただこうと、退院していく患者さんの笑顔を励みにがんばっています。
詳細情報
はじめに
当科の理念として、華やかな手術手技や流行に惑わされることなく、一つ一つの手技を確実、丁寧にハイクォリティで行うことを心がけています。外科医が満足する治療ではなく、患者さんが満足し、笑顔になれる治療“patient first”を信念としています。
専門領域
当科では主として成人の心臓血管手術を対象としております。近年生活習慣病といわれる高血圧、糖尿病、高コレステロール血症を基礎とした動脈硬化性疾患が増加の一途をたどっています。狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患に対する冠動脈バイパス手術、特に近年増加傾向にある弁膜症手術、大動脈瘤手術等が主な手術となります。当院での手術実績は下記の別表をご参照ください。また、少しでも身体にやさしい治療として、平成23年から大動脈瘤に対するステントグラフト治療を開始し、弁膜症手術ではTAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)やMICS(右小開胸手術)など、低侵襲手術に努めています。したがって、80歳以上の高齢者やハイリスク患者さんでも積極的に手術を引き受け、良好な成績を収めています。以下、当科でおこなわれている主な手術について簡単に説明いたします。
冠動脈バイパス術
冠動脈疾患に対しては薬物療法、カテーテル治療(風船治療、ステント治療)が選択されることが多いのですが、カテーテル治療が困難な症例や危険な症例、重症で緊急に救命処置が必要な症例などが手術の対象となります。手術では患者さん御本人の血管の一部を使用して流れの悪くなった冠動脈を迂回するように新しい血液の流れ(バイパス)を作ります。バイパスの材料としては内胸動脈、胃大網動脈、橈骨動脈、大伏在静脈などを使いますが、現在は長期の開存性のすぐれた動脈グラフトが好んで用いられます。手術方法として心拍動下冠動脈バイパス術(オフポンプCABG)と人工心肺装置を使用し、心停止(時には拍動したまま)に行う心停止下冠動脈バイパス術CABG(オンプンプCABG)とがあります。一般に人工心肺を使用するとある程度の負担が患者さんの身体にかかります。しかし、心停止下の方がより質の良い吻合が可能で、さらに吻合場所も最も理想的な部位にバイパスを行うことができるメリットがあります。以前は80%以上をオフプンプCABGで行っていましたが、最近では患者さんの状態により、人工心肺装置使用による影響がほとんどないような患者さんには心停止下CABGを行い、人工心肺の影響を受けるのが好ましくない患者さんにはオフポンプCABGを行っています。どちらの術式でも術後2週間程度で退院できます。待機的冠動脈バイパス術での早期死亡率は1.0%以下です。また、心筋梗塞後心不全に対する左室形成術(バチスタ手術、ドール手術)や、虚血性僧帽弁閉鎖不全症に対しても積極的に手術を行っています。(図1)
図1:4か所のバイパスがすべて流れているのがわかります。
弁膜症手術
心臓弁膜症ではリウマチ性疾患が減少し、大動脈弁硬化症による大動脈弁狭窄症、変性疾患による僧帽弁閉鎖不全症の割合が増加してきています。特に大動脈弁では高齢者の大動脈弁狭窄症が増加しており、65歳以上の方には生体弁(ウシ、ブタ生物弁)を用いて弁置換術を行っています。さらに80歳以上であれば、より低侵襲な(身体に負担が少ない)TAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)を行っています。TAVIは生体弁をカテーテル内に収納し、開胸することなく大動脈弁留置を可能にした最先端の手技で、圧倒的な低侵襲を可能にしました。したがって弁膜症の他にも合併疾患を多くかかえている高齢者の患者さんには非常に有効な治療方法となりました。(図2)
図2
僧帽弁狭窄症の患者さんは僧帽弁置換術の対象となりますが、僧帽弁閉鎖不全症は可能なかぎり患者さんの弁を修理して用いる弁形成術を第一選択としています。弁膜症に付随して多く認める不整脈、心房細動に対しても積極的にMaze手術(心房細動を正常洞調律に戻す手術)を行う方針としています。心臓弁膜症は弁の機能不全が生じてから自覚症状が出るまでに、長い例では10年以上も無症状の時期があり、自覚症状が出た時点ではすでに心臓機能が高度に低下している場合が多く見られます。以前に比べると弁置換術、弁形成術の手術成績は格段に向上してきており、日本胸部外科学会の報告でも手術死亡率は3~5%といわれています。自験例では僧帽弁形成術では死亡なく、再手術も含めた単弁置換術で早期死亡率3%でした。僧帽弁形成術、大動脈弁置換術とも右小開胸(切開5-8cm)によるMICS手術(低侵襲手術)が可能であり、患者さんの希望があれば積極的に行っています。(図3)
図3:僧帽弁閉鎖不全症/大動脈弁狭窄症に対し、右小開胸(6cm切開)や 胸骨部分切開(8cm)からのアプローチで行う。術後回復が早く、社会復帰も早い。
胸部大動脈瘤、大動脈解離、腹部大動脈瘤
真性大動脈瘤は高血圧、動脈硬化を主な病因とし発症するもので、大動脈の壁の一部がコブのように拡張するものです。胸部大動脈に発症するものを胸部大動脈瘤、腹部大動脈に発症するものを腹部大動脈瘤とよびます。中には胸部大動脈から腹部大動脈にかけて広い範囲で動脈瘤を認める胸腹部大動脈瘤もあります。一般に真性大動脈瘤はよほど大きくならないかぎり無症状で、破裂して初めて気づかれる例も多いです。
動脈瘤の最大径が腹部で5cm、胸部で6cmを超えると破裂の可能性が高いとされ、手術適応となります。手術はコブの部分を人工血管で置き換える、人工血管置換術を基本術式とします。最近では、人工血管にバネをとりつけたものをカテーテルに通して、血管内部に留置し、動脈瘤への血流を塞いでしまい破裂を予防するというステントグラフト治療も行っています。これでは手術による切開部分が鼡径部(足の付け根)の3cmだけで済むので、身体にやさしい(低侵襲)治療となります。時には人工血管置換術とステントグラフト治療を合わせて行う(ハイブリッド治療:図4)ことで、大きな手術を小さな手術にすることができ、患者さんへの負担を軽減することも行っています。大動脈瘤は発生部位により手術の際様々な補助手段(人工心肺装置、脳分離体外循環、超低体温循環停止法)を必要とし、手術の困難さ、危険度も異なります。腹部瘤手術の死亡率はほぼ0に近いのですが、胸部瘤は5~10%くらいとなります。むろん破裂してからの手術では危険はずっと高くなります。
図4
もうひとつの手術対象となる大動脈疾患に急性大動脈解離があります。これは突然、大動脈の壁に亀裂がはいり、大動脈全体にわたって裂け目が広がるもので、突然の激しい胸痛、背部痛を特徴とします。心臓に近い部分に裂け目が生じる場合をスタンフォードA型、胸部下行大動脈以下に裂け目がある場合をスタンフォードB型と呼ばれており、A型急性大動脈解離が緊急手術の対象となります。手術では、裂け目のできた大動脈のうち心臓に近い部分を人工血管で置換します。真性動脈瘤の手術と同じように様々な補助手段を必要とし、また裂け目のあるもろい大動脈に人工血管を吻合するという技術上の困難さもあり、手術の危険度も高い手術となります。以前は手術死亡率20%を超える手術でしたが、最近の手術成績は向上し、緊急手術にもかかわらず死亡率は全国平均で10%、当院では8%となっています。
一方、B型急性大動脈解離は発症時期に手術を必要とするのは5%以下で、多くは血圧を下げる降圧療法が中心となります。しかし、徐々に裂けた血管の一方(偽腔)の拡大を認めるようにあり、血管全体として拡大することになります。大動脈径が60mm前後まで拡大すると破裂の危険が生じてきますので、人工血管置換術が必要になります。しかし、最近B型解離に対してステントグラフトで、裂け目の部分(エントリー)を塞いでやると、偽腔の拡大を防ぐだけではなく、偽腔が縮小し、本来の血管の姿まで改善する(リモデリング)ことが報告されています。当院でも2015年からはB型解離症例に対し、積極的にステントグラフト治療を行い、非常に良好な成績を得ています。(図5)
図5:術前は真腔と偽腔に血流を認めるが、
ステントグラフト留置後は偽腔は血栓化し、
半年後には偽腔は消失している。
胸腔鏡下左心耳閉鎖術
年齢とともに心房細動という不整脈が発生しやすくなることは知られています。心房細動になると左心耳という心臓の一部に血栓形成を生じ易くなります。そして、この血栓が剥がれ流れていき、脳の血管に詰まってしまうと脳梗塞を起こしてしまいます。そのため、心房細動を発生した患者さんは抗凝固療法(血液をサラサラにする薬を飲む)を受けなければなりません。しかし、この抗凝固療法のために出血傾向を生じるトラブルに見舞われることが多く報告されています。胸腔鏡下左心耳閉鎖術は左胸に0.5~1cmの切開を4か所おき、カメラアシスト下に左心耳を閉鎖あるいは切除する手術です。全身麻酔で行いますが、回復は早く4-5日で退院可能で、術後は抗凝固療法を受けなくてよくなります。Watchmanという左心耳閉鎖デバイスをカテーテルを使って、心臓の中から左心耳を閉鎖する方法もありますが、心臓の中に異物を残さないという点から、胸腔鏡下左心耳閉鎖術の方が抗凝固療法をしなくて済む確率が高いと報告されています。
図6:左の白マルで囲まれたニワトリのトサカのような部位が左心耳で、
同部位の血流がよどむようになり血栓が形成されやすい。
中央は左心耳切除後で左心耳は消失している。
図右が術後の手術傷跡。
末梢血管疾患
末梢血管疾患の主なものは動脈硬化を主体とした閉塞性動脈硬化症です。下肢動脈の動脈硬化性の狭窄や閉塞のため下肢への血流が低下する疾患で、その重症度によって症状も冷感、しびれから、間歇性跛行(歩き始めはなんともないが、しばらく歩いているとふくらはぎ、太ももが痛くなる。止まって休むとまた歩ける。)、安静時疼痛、潰瘍、壊死へと進行します。軽症の場合は薬物治療が選択されますが、重症の間歇性跛行以上の場合にはカテーテルによる血管内治療や下肢動脈バイパス手術がおこなわれます。一般的には患者さんの病態に応じて、種々の治療を組み合わせることになります。重症の場合、下肢切断に至ることも稀ではないので、早めにご相談ください。手術自体に大きな危険は伴いませんが、この病気の患者さんは他の病気(糖尿病、腎不全、心不全、脳梗塞等)を併せ持っている方が多く、そちらの管理も重要です。(図7)
図7
ほとんど血管は描出されない
術後SPPの上昇、症状改善
指先までポカポカに!
高松赤十字ハートクラブ(コロナ禍で自粛中でしたが、昨年より再開)
高松赤十字病院には、当院の心臓血管外科で手術を受けられた患者さんの集まり「高松赤十字ハートクラブ」という患者会があります。2002年4月の心臓血管外科開設以来、18年が過ぎ、その間に手術を受けられた患者さんは、大きな手術だけで2,100名以上にもなりました。しかし、近年は病院の役割分担ということが提唱され、当科で手術を受けられた患者さんでも、その大部分は紹介元の病院や地元の診療所で定期通院をされており、心臓血管外科を受診するのは半年、一年に一回という方がほとんどです。そこで開設2周年の2004年4月、当科にて心臓大血管手術をうけられた患者さんの集い「高松赤十字ハートクラブ」を結成し、病院ー患者間の連携を深めると共に、近況も報告していただこうということになりました。年に一度の集会とし、これまで過去15回集会を開きました。ハートクラブの運営は、会費を徴収することなく、参加費として患者さん一人につき500円をいただき、足りない分は病院の補助でやっていくことにしています。本会は患者さん同士の親睦を図るとともに、私ども病院スタッフとの患者さんとの交流を深め、さらには日頃聞きにくいご質問などにお答えすることを目的としています。今後も高松ハートクラブを通じて患者さんとの連携を密に保っていきたいと考えています。
会場内概観
人体模型を使った心肺蘇生の説明
手術用具、使用物品の説明
エコー検査実演
高松赤十字病院心臓血管外科 年次別手術症例数
地域の先生方へ
心臓、血管疾患では状態が悪くなる前に手術を行うことができれば、比較的低いリスクで手術を行うことができます。自覚症状のはっきりしない場合も多く、手術適応かどうかなどお悩みになられることもあるかと思いますが、疾患の程度などは気にされることなく、当院へ紹介頂ければと思います。当院の方では心・血管センターとして循環器内科と一緒に外来を行っており、循環器内科とも相談の上、必要に応じて、手術や保存的治療を行い、先生方のもとへお返ししたいと考えております。
当科の外来診療日は毎週月曜午前、水曜、木曜(第1,3,5週)の午前、金曜日となっております(外来受付時間:午前8時から11時、午後12時から15時)。定時の来院が困難な場合には、ご相談いただければ他の曜日で対応させて頂きます。また、患者さんの容態、搬送距離などを考慮の上、当院よりドクターカーを出動させることも可能です。迅速な病態把握、初期治療なども行なえるので患者さんのメリットも大きいと思われます。ご相談の上、対応させていただきます。その他心臓病、血管疾患などで何かお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。
おわりに
心臓、血管疾患では意外と、自覚症状のはっきりしない場合が多く、「歳のせいかな?」と思われていることも少なくありません。気になることがあれば早めに専門家の診療を受けられたほうが良いと思います。当科の外来診療日は毎週月曜午前、水曜、木曜(第1,3,5週)の午前、金曜日となっております(外来受付時間:午前8時から11時、午後12時から15時)。定時の来院が困難な場合には、ご相談いただければ他の曜日で対応させていただきます。心臓病、血管疾患などで何かお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。