褥瘡対策チーム
特色
褥瘡は、身体に加わった力(圧迫・ずれ)によって骨と皮膚との間の組織の血流が低下し、その状態が一定時間継続すると皮膚損傷を起こし褥瘡となります。褥瘡の発生危険因子は、骨の突出の程度や皮膚の脆弱性などの局所因子、ADLの低下や栄養状態など全身的因子、ベッドの硬さや介護力・看護力などの環境因子がかかわってきます。ねたきりの高齢者に発生するイメージがありますが、急性期病院では高度医療による長時間手術や重症者が多いため、褥瘡発生危険リスクは決して低くありません。そのため、多職種で構成される褥瘡対策チームが必要となります。
当院で、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、事務職員と協働し、褥瘡予防、褥瘡の早期治癒のために褥瘡対策チームを組織して活動しています。
褥瘡対策チームの組織
数人の褥瘡対策チームでは、多くの入院患者さんの褥瘡対策を把握することはできません。そのため、褥瘡対策チームを3つに分けて組織化し、入院患者さんにきめ細かく対応しています。3つの組織は、全病院的な視点で対策を検討する「褥瘡対策委員会」、各病棟のリンクナースで構成され病棟と褥瘡対策委員会との連携の維持する「看護部褥瘡対策委員会」、各病棟での専任の看護師で構成され、褥瘡対策を実行する「病棟担当者会」で、お互いに連携をとって活動をしています。
褥瘡対策の実際
入院患者さんについては、入院時に褥瘡発生リスクアセスメントを行い、リスクによって体圧分散マットレスや体位変換方法の選択、失禁や脆弱な皮膚に対するスキンケア、栄養状態の改善対策、ADLの拡大対策を行っています。
褥瘡回診
月2回、D3(皮下組織を超える)以上の褥瘡患者全員をチームで回診しています。回診は、褥瘡対策委員会と看護部褥瘡対策委員会・皮膚科から6~8名が参加しています。病棟看護師と情報交換しながら、褥瘡の創の評価としてDESIGN-Rでの評価や創の写真の撮影、褥瘡対策の実施の評価として体圧分散マットレスの種類やポジショニングクッションの種類と数、高すべり性グローブ設置の確認、日常生活自立度と危険因子の確認等を行っています。
褥瘡保有者の外来受診について
皮膚科外来では、褥瘡の患者さんの診療も行っておりますが、原則として積極的な入院受け入れはしておりません。褥瘡患者さんは、外来にて診療・処置を行い、治療方針をたてて、各施設で診療を継続できるようにバックアップを行います。必要があれば外来通院にて継続処置を行っています。
局所的な問題だけでなく、環境要因の改善が必要な場合は、WOC相談室で専門の皮膚・排泄ケア認定看護師が「体圧分散マットレスの選び方」「クッションの使い方」など個別の状況に応じて褥瘡相談を行っています。
褥瘡対策に関する委員会・カンファレンス
褥瘡対策チームの各組織では定期的に会議を行って 対策を検討しています。各病棟単位では週1回褥瘡カンファレンスを開催し、個々の患者さんの状況に沿った褥瘡対策を検討しています。
褥瘡勉強会
院内の医療者むけには年8回の褥瘡勉強会を開催し、 知識・技術の向上に努めています。また、地域連携の一 つとして、院外から医療・福祉関連施設の方むけに「褥瘡実践セミナー」を年1回開催しています。「褥瘡実践セミナー」には毎回多くのかたにご参加いただいております。
対象疾患
外来では褥瘡患者さんが対象ですが、入院では褥瘡になるリスクの高い患者さんも対象で予防的にも関わってい ます。
褥瘡回診