看護部の育成
専門職として自律した質の高い看護師を育てています。
当院では組織の一員として、赤十字の理念に基づいた看護を提供でき、赤十字事業の推進者となる看護師の育成を目指しています。
看護実践能力の到達目標をレベル別に明示し、教育計画も含めた看護実践能力の向上のための仕組み(キャリア開発ラダー)を用いて、各個人のライフスタイルに合わせて看護実践能力を自主的・計画的に開発していけるようにサポートしています。
図1は赤十字施設の看護師キャリア開発ラダー全体構造図です。
赤十字施設の看護師キャリア開発ラダーは、実践者ラダーが基盤となります。
皆さんには実践者ラダーのレベルⅢを目指していただきます。そして、実践者ラダーレベルⅢに達すると、今後は看護実践者としてジェネラリストを目指すのか、スペシャリストを目指すのか、あるいはマネジメントを行う看護管理者を目指すのか選択していくようになります。
また、国際活動要員や看護教員を目指すための国際ラダー、教員ラダーもあります。
自分の目指すキャリアを積み上げていく構造となっている。
当院の看護師は専門職として看護実践を通じて自己実現を目指しています。
なお、キャリア開発ラダーのシステムは、他の赤十字医療施設とレベルの互換性があるのが特色といえます。
図2は赤十字施設のキャリア開発ラダーの根幹となる実践者ラダーの領域と概念図です。
- 縦軸は成長と発達を表し、横軸は対象と活動領域の広がりを表しています。
- 赤十字の領域が中心にあり、赤十字を取り巻く形で看護実践能力を表し、マネジメント、教育・研究、グローバルヘルスの領域が続きます。
- らせん状に渦巻いているのは、赤十字の人材育成のキー概念であるリフレクションです。リフレクションを行うには、他者に対する「オープンさ」が求められ、時に自分の価値や信念を深く問うことになります。教える者と学ぶ者という立場を超えた、学びや成長を支えあう組織風土が重要となり、これはまさに赤十字の人道の理念に通じるものです。「ひとも自分も大切にする」ことにより、育み育まれる職場風土を醸成し続けることが期待でき、キャリア開発が推進されることも表しています。
当院では、これらの能力開発のため特色のある教育計画を企画しています。
具体的な教育計画については、レベル別研修プログラムをご覧ください。
レベル別研修プログラム
このうち、「カウンセリング」研修についてはすでに30年余の歴史があり、当院看護師の基本的聴き方の習得に役立っていると考えています。今後、EBNに基づいた看護実践ができること、あらゆる場面を通して看護の立場から発言できるようにプレゼンテーション能力を高めること、社会情勢や状況に応じた組織改革に参加していくこと、次世代を担う後輩を大切に育成していくこと、看護倫理に基づいた行為を実践することなどが、時代に要求されていることと考えています。これらの能力を開発していけるよう、必要に応じて研修プログラムを見直しています。
※表は横にスクロールしてご覧ください。
ラダー研修 | 目指すレベル | ||||
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レベルⅠ | レベルⅡ | レベルⅢ | レベルⅣ | ||
看護実践 | 看護倫理 | 看護倫理Ⅰ | 看護倫理Ⅱ | 看護倫理Ⅲ | |
対人関係能力 | コミュニケーション | カウンセリング | コーチング | ファシリテーション | |
概念化 | 看護過程Ⅰ | 看護過程Ⅱ (部署内) |
家族看護 レベルⅢ~Ⅳ受講で可とする |
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ナレッジ | |||||
看護観 | |||||
フィジカル アセスメント |
フィジカルⅠ Step1 |
フィジカルⅡ Step1 |
フィジカルⅢ | フィジカルⅣ | |
フィジカルⅠ Step2 |
フィジカルⅡ Step2 |
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BLS | ALS | ALSアドバンス | RRS | ||
マネジメント | リーダーシップⅠ | リーダーシップⅡ | 組織論と アサーティブネス |
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看護と診療報酬 | |||||
教育・研究 | 看護研究Ⅰ | 看護研究Ⅱ | |||
グローバルヘルス | グローバルヘルスⅠ | グローバルヘルスⅡ | グローバルヘルスⅢ | グローバルヘルスⅣ |
新人教育について
当院の新人看護師職員研修プログラムは、キャリア開発ラダーとリンクさせた1年間の研修プログラムで展開しています。
また当院ではプリセプター制度を導入しており、新人1人に対して1人の先輩看護師(プリセプター)が一定期間マンツーマンで新人指導にあたります。
そしてプリセプターだけでなく、プリセプター支援ナースを含め、スタッフ全員で新人の成長を支援します。
当院では看護大学や看護専門学校など、様々な基礎教員を背景に持つ新人が入職してきます。そのため基本的な看護技術トレーニングからスタートし、配属部署で戸惑うことなく看護実践できるようにしています。
そして看護技術の習得の後に受け持ち患者の看護、夜勤開始と1年間でプログラムを修了するように計画しています。