ナースからのメッセージ
この度、私は2021年12月にクリティカルケア認定看護師となりました。クリティカルケア認定看護師とは、2020年度から救急看護分野と集中ケア分野を統合し、「呼吸器(人工呼吸療法)関連」「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」「循環動態に係る薬剤投与関連」の3区分の特定行為を組み込んだ新たな認定看護師分野です。
クリティカルな状態とは、突発的な事故や重篤な疾病、身体的侵襲の大きい手術などによって重要な生体機能に障害をもたらし、生命の危機的状態に陥っている状態で、心理的・社会的にも危機状態のことを指します。クリティカルケア看護とは、このようなクリティカルな状態にある患者さんに対して救急外来や集中治療室など部署で区切る「点」ではなく、患者さん自身を見ていく「面」として見る視点をもち、病院の入り口(救急搬送)から出口(退院)、その後まで考えケアしていくことが求められています。そして、認定看護師とは「実践」「指導」「相談」の3つの役割があり、特にベッドサイドで患者さんと直接関わる「実践」の役割比率が高く求められています。そのため、特定行為を活かし、クリティカルにある患者さんの重症化回避と合併症予防、早期回復に向けた看護「実践」を目指していきます。
認定看護師となった今、自分の目指す看護師像への新なスタートに立つことができました。私はICUに所属していますので、ICUに入室中、ICUから一般病棟に退室される患者さんやご家族にお会いします。患者さんやそのご家族と関わる中で、認定看護師として私自身も一歩一歩成長していきたいと思います。患者さんの早期回復にむけて認定看護師として多職種と連携し、チームで取り組んでいきますので、よろしくお願いいたします。
「感染管理」分野の認定看護師は3名で、感染対策室、救急病棟、手術室に在籍しています。主な活動には、医療関連感染サーベイランス(感染症発生状況の監視)や感染制御のための院内ラウンド、院内感染対策マニュアルの作成や改訂、感染制御に関する情報提供、感染症等の相談や助言、教育、指導などがあります。「感染管理」活動は、感染対策チーム(ICT)や抗菌薬適正使用支援チーム(AST)で行うため、医師や薬剤師、臨床検査技師等と情報共有しておくことが大切です。ICT(2回/月)や、AST(1回/週)の定例会、院内ラウンド(1回/週)のほか、職員や外部の相談にも応じています。手術室では、手術で使用する器械の管理や、手術時の清潔操作を徹底し、患者さんが安心して手術に臨むことができるようチーム医療を提供しています。救急病棟は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のトリアージ(疑い例)や、重症度判定、入院に対応しています。
2021年は、高齢者施設や介護施設等へコロナ対策への助言をさせていただき、病院外へ視野を広げることができました。2022年もよろしくお願します。
放射線治療は、がんを治したり、がんによる痛みを軽くすることができる治療法です。局所の治療のため身体への負担が少なく、年齢も問わないため、様々な状況や年代の患者さんが対象になります。また、治療機器や治療法の開発が進み、以前より副作用も少なくなってきています。
がん放射線療法看護認定看護師は、予定された治療を完遂できるよう、放射線治療の知識や技術を使って支援をさせていただく看護師です。患者さんが、安心して安楽に治療ができるよう環境を整えたり、放射線や治療に関する不安の軽減に努めていきます。身体のケアの方法や困りごとの相談など一人ひとりの患者さんやご家族に合わせた関わりを心がけています。初めての診察から治療が終わるまで治療室でほぼ毎日お会いすることになりますので、分からないことや気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
高松赤十字病院には、摂食・嚥下障害看護認定看護師1名と認知症看護認定看護師2名が在籍しています。
摂食嚥下障害看護では、病気や治療、加齢など何らかの理由で飲むことや食べることが難しくなった入院患者さんの介入をしています。耳鼻いんこう科医師と言語聴覚士が嚥下機能評価やリハビリテーションを実施します。また、病棟看護師、歯科口腔外科、リハビリスタッフ、栄養課、薬剤師と共に適切な食事形態や食事姿勢の調整、口腔ケアなどの口腔衛生にも関わっています。「食べたい」を支えるために本院にいる他分野の専門・認定看護師や多職種と協同しながら、どのように安全に口から食べ続けることができるかを考えます。入院患者さんの嚥下機能や食事について気になることや勉強会実施など何かあればいつでも声をかけてください。
認知症看護では、認知症の診断がある患者さんや認知症症状のある患者さんが、急性期医療の中でも混乱なくその人らしい療養生活が送れるように支援を行っています。そして、認知症のある高齢患者さんを対象に認知症看護認定看護師をはじめ医師、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、リハビリスタッフなどの多職種で構成されたメンバーで院内ラウンドを実施しています。構成されたメンバーで患者さんが安心して必要な治療を受け、日々の療養生活が送れるように環境づくりや薬剤投与アドバイス、身体抑制軽減に向けた提案を行っています。また、生活の活性化が図れるように院内デイケアを実施しています。院内のリソース(人材や設備など)を活用し患者さんに笑顔がみられるような看護を提供していきたいと考えています。
手術はその大きさに関わらず、手術を受ける患者さんにとっては一大事です。
手術看護認定看護師は、そのような手術を受ける患者さんやそのご家族に精神面と身体面の両側から質の高いサポートを行う看護師です。
患者さんの高齢化や手術技術の複雑化など、手術医療を取り巻く環境が変化する今、皆様に少しでも安心して、安楽に手術を受けていただけるよう、手術室看護師の育成をはじめ手術看護のレベル向上に努めております。
また、昨年春より麻酔科外来での術前オリエンテーションも開始しております。専門性の高いベテラン看護師が手術を受ける患者さんの疑問にお答えし、また患者さんの持つリスクを早期に発見することで、安全な麻酔と手術、スムーズな術後の回復に繋げられるよう活動しております。手術、麻酔に関する疑問や不安がありましたら是非ご相談ください。