腹腔鏡手術から男性不妊まで院内で対応できる高い総合力
夫婦ともに生殖・妊娠機能が正常であれば、1年後の妊娠率はおよそ85%といわれます。
不妊症とは、妊娠を希望しているカップルが1年以上夫婦生活を営んでいるのに妊娠しない状態のこと。女性が原因の場合は排卵障害、卵管閉塞、子宮筋腫や子宮内膜症、加齢による卵子の老化など、男性が原因の場合は精子の数・運動率の低下や無精子症が要因として挙げられますが、はっきりした原因が見つからない場合も少なくありません。
女性の場合は子宮内膜症や子宮筋腫、クラミジアによる卵管癒着などが不妊の原因と思われる場合に行う。おなかに1センチ程度の穴を3~4カ所開け、腫瘍を摘出したり癒着をはがし、生殖臓器の位置関係を妊娠に適した状態に整える。
※全身麻酔下で行いリスクも伴うため安全に行える環境が不可欠であり、産婦人科専門医と麻酔科専門医の連携や 最新鋭設備を整えた総合病院として当院が強みを発揮している分野です。
●排卵誘発:服薬や注射で卵巣を刺激して排卵をうながし、体内のホルモン環境を整える。
●タイミング指導:通院で卵胞の大きさやホルモンを測定し、推測した排卵日に合わせて夫婦生活を持つよう指導する。
●人工授精:自宅で採取した精液を洗浄濃縮し、排卵日に合わせてカテーテルで子宮に注入する。
●体外受精:排卵誘発剤を使って複数育てた卵子を日帰り手術で採取し、自宅で採取した精液から調製した精子と体外で受精させる方法。精子を卵子にふりかけて受精を待つ「通常体外受精」、通常体外受精ではうまくいかない場合に顕微鏡下で細い針を使って卵子に精子を直接注入する「顕微授精」がある。
※特に36歳以上の女性は卵子の老化が急速に進むおそれがあるため、できるだけ早い体外受精をおすすめしています。
●胚移植:胚(受精した卵子)を育てて子宮に戻す方法。4~8細胞に分割した胚を戻す「初期胚移植」、初期胚をさらに培養してから戻す「胚盤胞移植」がある。胚移植は、一度凍結保存した胚を使う「凍結融解胚移植」の妊娠率が高いことがわかり、現在主流となりつつある。
男性不妊
WHOの統計によれば、不妊の原因が男性のみにある場合は24%、男女ともに原因がある場合は24%とされ、不妊の約半数は男性側因子が関わっていることになります。
近年は不妊に悩むカップルの男性が積極的に泌尿器科を受診することも増えてきました。通常は1回目の受診で精巣と前立腺の診察、超音波検査、内分泌検査、精液検査を行い、2回目の受診で再度精液検査を行ってから治療方針を決めます。
当院では泌尿器科専門医が外来で対応に当たっていますから、気軽にご相談ください。
顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE)
男性不妊の原因のひとつ「無精子症」は、精子の通り道に異常があり正常に作られた精子が出てこない「閉塞性無精子症」と、造精機能そのものに異常がある「非閉塞性無精子症」に大きく分けられます。
いずれも手術療法が主流で、当院では顕微鏡下で精巣内の精子を採取する手術(MD-TESE)を行っています。
採取した精子は凍結保存しておき、女性から採取した卵子と顕微授精させることで妊娠を目指します。最新鋭の機器により精度の高い採取ができるため精子の回収率が高く、精巣へのダメージも抑えられ2~3日の入院で行えること、泌尿器科と産婦人科の密な連携でスムーズに顕微授精が進められることが大きな特長です。
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