アトピー性皮膚炎
症状
強いかゆみのある湿疹が全身に現れ、よくなったり悪化したりを繰り返す。「かゆくて眠れない」「物事に集中できない」「湿疹のせいで見た目がコンプレックス」といったストレスを伴う。
刺激や乾燥から体を守る「肌のバリア機能」が低下し、アレルゲンや物理的な刺激の影響を受けやすくなって炎症が起きる。
治療
保湿・スキンケアを中心とする肌バリア機能の改善と、かゆみを抑える塗り薬が中心。それでもなかなか改善しない・全身に広がってしまったなど重症化している場合は、注射・飲み薬による治療、紫外線を当てる治療などが選択肢に。状態によっては入院して治療を行うことも。
治る?
スキンケアを徹底しつつ、年単位で様子を見て、塗り薬などを減らす・やめることができるケースもある。アトピー性皮膚炎のことを忘れて生活できることを一つのゴールとします。
POINT
肌バリアの改善が鍵!
乾燥しやすい冬はとくにしっかり保湿を。かゆみが治まっても、塗り薬はきちんと続けましょう!
乾癬
症状
皮膚が赤く盛り上がったようになり、皮がむけて粉が落ちる。かゆみや関節の痛みを伴う場合もある。発症する場所によっては爪の変形や頭皮のフケのように見えるなど、見た目のコンプレックスを抱えることが多く、うつ病の発生率が高いともいわれる。
遺伝的な体質とストレス・生活習慣・他の病気・薬の影響などの環境因子が相互に作用して免疫異常を引き起こす。メタボリック症候群との関連が指摘される場合もある。
治療
塗り薬が中心であるが、皮膚症状が全身に広がっていたり、関節痛を伴う場合は、飲み薬や注射が選択肢に。注射はアトピー性皮膚炎の治療と違って副作用に注意が必要で、検査体制が整った総合病院の主導で行うことが多い。
治る?
薬で症状が軽くなっても、薬をやめるとぶり返すことが多い。様子を見ながら継続するのが基本。
POINT
適度な日光浴も効果的
ただし過度に日光を浴びると悪化する可能性があるため、真夏の強烈な日差しなどは避けて!
皮膚感染症
●壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん)
外傷や虫刺されなどをきっかけに筋肉の膜まで菌が入って、組織を溶かしてしまう。手足の腫れと痛みが急激に広がり、高熱を伴って短時間で重篤化することがあるため救急治療が必要。「体調が悪く足の色が変わってきた」などは要注意のサイン
●ガス壊疽(えそ)
外傷や虫刺されなどから菌に感染するのは筋膜炎と共通するが、感染した菌の種類によってはガスを出すものがある。糖尿病を治療せずに放置している人に多い。皮膚の色が青っぽくなり、傷みや腫れとともに甘酸っぱい悪臭を伴って、対応が遅れると重い全身症状に陥り四肢切断などのリスクも…
●蜂窩織炎(ほうかしきえん)
レンサ球菌・ブドウ球菌を主な原因とする細菌感染症で、足に起きやすい。皮膚の一部が赤くなって痛みや熱を伴い、水泡ができることもある。抗菌薬の服用で改善しない重篤な場合は、入院して点滴治療を行う
●帯状疱疹(ヘルペス)
ピリピリする痛みと、神経に沿って帯状に広がる赤い斑点や水ぶくれが特徴。水ぼうそうの原因となるウイルスが体内に残り、ストレスや加齢などで免疫が低下すると再び活性化して発症する。痛みから始まるため初診は内科や脳外科を訪ねがちだが、発疹が出たら早めに皮膚科へ! 日本人は80歳までに約3人に1人が感染するともいわれるポピュラーな病気で、ワクチンの有効性が高い。
皮膚悪性腫瘍(皮膚がん)
●基底細胞がん
最も発生数の多い皮膚がん。ほくろより青黒く、光沢のある硬い病変が皮膚にできる。転移することは少ないが、周囲の正常な組織を破壊して広がる。
治療
基本的に手術で取り除く。顔などに発生した場合は見た目を考慮した再建手術も伴う。しっかり切り取ることができれば根治率は高い。
●有棘細胞がん
イボやびらんを伴う赤い病変が皮膚にできる。悪臭を伴うこともある。原因は不明だが、紫外線や慢性刺激・炎症、ウイルスなどの影響があるとされる。
治療
基本的に手術で取り除く。進行するほど根治は難しいが、手術による切除・放射線・抗がん剤の併用で高い治療効果を追求できる。
●メラノーマ
メラニン色素を作り出す細胞ががん化したもの。ほくろに似ているが、左右非対称の不規則な形・正常な皮膚との境界がはっきりしない・表面が盛り上がっているなどの違いがみられやすい。早い段階で転移しやすく、転移の有無を判断しやすい「センチネルリンパ節生検」で正確な診断が重要。
治療
大きさや転移によって治療法は異なるが、手術による切除・化学療法・放射線治療の集学的治療が基本。近年は免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」などの登場で治療の効果が向上しつつある。