足は約26個の骨とそれをつなぐ関節で構成され多彩でなめらかな動きができる半面、日々さまざまな負荷を受け止める重要な運動器です。
特に近年は生活様式の変化や高齢化、スポーツの普及などが進み、足の疾患も増加傾向。
当院では最新の治療機器や低侵襲な手術を積極的に採用し患者さんの足の健康を守っています。
県内でも珍しい体外衝撃波療法を実施 足底腱膜炎
足の裏には、かかとの骨からつま先にかけて扇状に「足底腱膜」という線維の束が通っています。土踏まずのアーチ部分を支え、衝撃を吸収するクッションの役割を果たしていますが、長年繰り返し負荷がかかると、かかとの骨とつながっている部分が傷んだり炎症を起こし、足の裏に痛みを感じることもあります。これが足底腱膜炎です。
治療
治療には「体外衝撃波療法」が有効とされ、平均的な治療効果は60~80%。体の外から患部に衝撃波を当てることで、痛みを感じる神経伝達物質を減少させるとともに、筋組織や骨の組織の再生を促す効果があるといわれます。照射後に腫れや赤み、内出血などが生じる場合もありますが、重篤な副作用はありません。
当院は今年10月に体外衝撃波治療装置を導入しました。欧米ではすでに標準的治療ですが、県内で体外衝撃波治療を行っている医療施設は少なく、基幹病院では今のところ当院が唯一。ピンポイントで患部を刺激できる最新鋭の「収束タイプ」を導入しており、より高い効果が期待できます。治療の際に麻酔は不要で外傷も残らず、1回あたりの治療時間は10~15分程度で済み、治療後もすぐに歩けるのが特長です。
体外衝撃波治療は、尿路結石に衝撃波を当てて破砕する治療を整形外科分野に適用したもの。結石の場合は砕いて体外排出しやすくするが、足底腱膜炎の治療では痛みのある腱の細胞を刺激します。
こんな症状があったら要注意!症状セルフチェック
【足の裏】
■起床して歩こうとすると痛む
■長時間歩いたり立ったりした時に 痛む
■座った状態から立ち上がると痛む
■走り出した時に痛む
■痛みがあってもしばらく歩き(走り)続けると落ち着く
【土踏まず】
■ピンポイントで痛い場所がある
■小さい腫れを感じる
【かかと】
■ピンポイントで痛い場所がある
■押すとピリッと痛みが走る
日常生活でもできるケア
●アキレス腱や足底腱膜のストレッチ
足のかかとから足首にかけて、足の裏側をしっかり反らし、ふくらはぎ・足首・足の筋肉をやわらかくする運動。10回1セットとして1日3セット以上が目安です。
●靴の中敷きを入れる
かかとの負荷を減らす素材や、足の形に合わせるためのインソールを使うのもおすすめです。
海外最先端の知見を当院で生かしたい
2022年に当院に着任する以前、2015年から1年半ほど、アメリカでトップレベルの整形外科病院といわれるニューヨークの「Hospital for Special Surgery(HSS)」に留学しました。2023年には、整形外科関連の英語論文の数とその内容を評価され、光栄にも難関のトラベリングフェローに選ばれて6月に3週間ほどアメリカ・西海岸の5都市6医療機関を訪問。こうしたアメリカでの経験と、そこで目の当たりにした最先端の治療法は、私にとって貴重な知見となりました。体外衝撃波治療装置を初めて見た時も、当時は一体何をしているのかまったくわからず、治療の進歩に驚いたものです。足の外科の分野ではまだまだ発展途上の香川で、研究が進む海外で学んだ最新の技術や知識を、地域の患者さんのためにしっかり生かしたいと思っています。
足の病気は発生要因をきちんと突き止め、それを解決するのが重要です。足の構造を熟知し、足から全身を考えることができるのが「良い足の外科医」と言えるでしょう。足のトラブルは放置せず、気軽に医師に相談してください。
当院の受診には紹介状が必要です。診察をご希望される場合は、かかりつけ医にご相談の上で整形外科外来へお問い合わせください。
電話番号:087-831-7101(代表)