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関節鏡手術で低侵襲に治療 -変形性足関節症-

足は約26個の骨とそれをつなぐ関節で構成され多彩でなめらかな動きができる半面、日々さまざまな負荷を受け止める重要な運動器です。
特に近年は生活様式の変化や高齢化、スポーツの普及などが進み、足の疾患も増加傾向。
当院では最新の治療機器や低侵襲な手術を積極的に採用し患者さんの足の健康を守っています。

関節鏡手術で低侵襲に治療 変形性足関節症

足首の関節(足関節)の軟骨がすり減って、関節に痛みを生じる病気です。軟骨がすり減る要因は加齢、過去のけがなどさまざまですが、「歩行・動作時の足首の痛み」「足首の腫れ・可動域の制限」などが主な症状。ひどくなると歩行に障害をきたすこともあります。

治療

治療は「足関節固定術」「人工関節置換術」などの手術療法が中心。足関節固定術は痛む関節が動かないように固定する方法、人工関節置換術は関節そのものを人工物に取り替える方法です。
足関節固定術の場合、大きく切開する方法は正常組織も傷つけ、感染症などのリスクも伴うため、当院では関節鏡視下で行う低侵襲な手術を採用しています。傷んだ足関節の皮膚に2~3カ所の小さい穴を開け、そこから内視鏡を挿入して行います。傷が非常に小さく低侵襲なのはもちろん、関節鏡で拡大した患部をモニターに映し、画像診断ではわからない細部まで丁寧に観察できるのが強みです。
足首の関節は小さくて隙間が狭いため手技的には難易度が高く、手術前のセッティングも複雑なことから、香川県内で実施している医療機関はごくわずか。「足関節靱帯損傷」や「距骨骨軟骨損傷」など、主に捻挫に伴う組織の損傷についても、当院では関節鏡が活躍しています。



見た目にも明らかな足首の腫れ。何度も捻挫を繰り返したり、足首を骨折したことがある人は、変形性足関節症になりやすいとされています。



関節鏡手術は、ごく細い棒状のカメラを関節内に挿入し、患部を直接モニターしながら治療を進めます。



脛骨(すねの骨)と距骨(足首の骨)をスクリューで固定する「足関節固定術」の例。
傷口は関節鏡を入れる部分とスクリューを入れる部分の計3カ所のみで、術後の痛みも軽度です。


海外最先端の知見を当院で生かしたい


整形外科・リハビリテーション科 副部長
殿谷 一朗(とのがいいちろう)

   

2022年に当院に着任する以前、2015年から1年半ほど、アメリカでトップレベルの整形外科病院といわれるニューヨークの「Hospital for Special Surgery(HSS)」に留学しました。2023年には、整形外科関連の英語論文の数とその内容を評価され、光栄にも難関のトラベリングフェローに選ばれて6月に3週間ほどアメリカ・西海岸の5都市6医療機関を訪問。こうしたアメリカでの経験と、そこで目の当たりにした最先端の治療法は、私にとって貴重な知見となりました。体外衝撃波治療装置を初めて見た時も、当時は一体何をしているのかまったくわからず、治療の進歩に驚いたものです。足の外科の分野ではまだまだ発展途上の香川で、研究が進む海外で学んだ最新の技術や知識を、地域の患者さんのためにしっかり生かしたいと思っています。
足の病気は発生要因をきちんと突き止め、それを解決するのが重要です。足の構造を熟知し、足から全身を考えることができるのが「良い足の外科医」と言えるでしょう。足のトラブルは放置せず、気軽に医師に相談してください。


当院の受診には紹介状が必要です。診察をご希望される場合は、かかりつけ医にご相談の上で整形外科外来へお問い合わせください。
電話番号:087-831-7101(代表)


表紙

なんがでっきょんな

vol.70

最新号

「高松日赤だより なんがでっきょんな」は、患者の皆さんに高松赤十字病院のことを知っていただくために、季刊発行する広報誌です。季節に合わせた特集や役立つ情報を掲載いたします。冊子版は、高松赤十字病院の本館1階の③番窓口前に設置していますので、ご自由にお持ち帰りください。左記画像をクリックすると、PDFでご覧になることもできます。

Take Free!

Columnvol.70の表紙のひと

1年目初期研修医

4月より新しく加わった10人の研修医です。今回の表紙は当院の目の前に広がる中央公園にて撮影しました。当日はよく晴れて、少し汗ばむ陽気でしたが若さあふれる元気いっぱいの一枚になりました。 まだまだ不慣れなこともあるとは思いますが、どうぞ温かい目で成長を見守ってください。