今回は肝臓の薬として広く使われる「ウルソデオキシコール酸」についてのお話です。
・ウルソデオキシコール酸って何に効く薬?
「ウルソ」や「ウルソデオキシコール酸」という名前を聞いたことはありませんか?身近では、胃腸薬や二日酔い対策のドリンク等に含まれていることがあり、目にしたことがある方も多いかもしれません。また、ウルソデオキシコール酸は肝臓の疾患がある方に病院から処方される場合もあります。作用としては、胆汁の流れをよくして胆石を溶かす作用、肝臓の血流をよくして、肝臓の細胞を守る作用、脂肪の消化をよくする作用があります。
・副作用ってあるの?
ウルソデオキシコール酸による副作用はほとんどありません。1~5%未満の方で下痢気味になる場合はありますので、気になるときには医師や薬剤師へご相談ください。治療で処方される場合は長期的に服用することも多いですが、通常、安心してお使いいただけます。ただし、胆道が完全に詰まっている方には使用できません。消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)や重い膵臓病のある方も慎重に使用する必要があります。持病がある方でウルソデオキシコール酸を含む薬を市販で購入される場合には、医師や薬剤師へご相談ください。
・ウルソデオキシコール酸の豆知識
ウルソデオキシコール酸は、もともと熊の胆汁から作られる生薬「熊胆(ゆうたん)」を起源とし開発された薬です。熊胆は、奈良時代に遣唐使が日本に伝え、江戸時代には、万能薬として庶民の間でも広まりました。1927年、岡山大学で熊胆の主成分が特定され、その成分が「ウルソデオキシコール酸」と命名されました。その後、日本国内での研究が進められ、化学的な合成に成功しました。つまり、発見から合成までの全てが日本の研究者によって行われ、日本での開発が先駆けとなった類い稀な薬なのです。現在では、世界50か国以上で使われているおくすりです。