1921年、カナダの外科医バンティングは、トロント大学のマクラクド教授の助手であるベストと共に、膵臓の抽出物に何か血糖値を下げる物質があることを発見しました。その後、この抽出物は「インスリン」と命名されました。インスリンの発見により、バンティング先生とマクラクド教授は、1923年にノーベル医学生理学賞を受賞されています。今から100年ほど前のことです。
インスリンは、膵臓のランゲルハンス島から分泌されるホルモンの一種で、血糖を下げるホルモンです。血糖値を一定に保つため、常に少しずつ分泌される基礎分泌と、食後の血糖値上昇によって分泌される追加分泌があります。
★健康な人のインスリン分泌推移
現在、多数のインスリン製剤が発売されています。体内にどれくらいのインスリンがあり、どれくらい分泌されているかの検査し、インスリンの種類を選択します。インスリンは作用する時間の長さ・効果発現までの時間によって分類されます。
【基礎インスリン製剤】
空腹時の高血糖を改善します。
●中間型:ノボリン®N注、ヒューマリン®N注
●持効型:トレシーバ®注、レベミル®注、ランタス®注など
【追加インスリン製剤】
食後の高血糖を改善します。
●超速効型:ノボラピット®注、ヒューマログ®注、アピドラ®注など
効果発現までの時間が短いため、食事開始時、食事開始後もしくは食直前に注射する
必要があります。
●速効型: ノボリン®R注、ヒューマリン®R注
効果発現までの時間が短いため、食事30分前に注射する必要があります。
注射の頻度を減らすなど利便性向上のために、上記を組み合わせた配合剤もあります。
また、インスリンの注入器の改良も進んでおり、インスリン薬液と注入器が一体化したプレフィルドタイプ、専用注入器に専用カートリッジを取り付けるカートリッジタイプがあります。小型のポンプを使って、インスリンを持続的に注入するインスリンポンプというものもあり、2~3日に1回針を刺し、簡単なボタン操作で注入する量やタイミングを調整出来ます。生活リズムに合わせた設定も可能です。携帯電話くらいの大きさであり、軽量でかつ人目を気にせずに注入することが出来ます。