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香川初のダヴィンチ最新機種2台体制

香川初の最新機種2台体制 精密な手術はダヴィンチにお任せ!

2022年1月1日、当院は新たにロボット手術センターを開設しました。人間の手や目では対応できないきわめて繊細な手術を、コンピューター制御の下で精密に行えるのが、ここでいうロボットこと「ダヴィンチ」の強み。当院は香川県で初めて最新機種2台をそろえ、患者さんの治療に対応しています。

人間には不可能な動きもダヴィンチならできる


旧機種に比べて大幅に機能が向上した「Xi」

外科手術における内視鏡手術は、患者さんの体に小さな穴を開け、そこから挿入した器具を医師が手で操作して行います。モニターに映し出される体内の様子は肉眼で見るより大きく鮮明に映り作業がしやすく、大きく開腹する手術に比べて低侵襲であることもメリットです。
こうした内視鏡手術に、ロボットによる支援技術を加えた最新の術式を「ダヴィンチ手術」と呼びます。従来よりさらに視野が広く、3D画像や手ぶれ補正機能なども備えて、正確かつ精密な手術が可能になりました。人間の手の動きには限界があり、内視鏡手術は途中で開腹手術に切り替えることもありえますが、ダヴィンチは細かい作業を得意とし、人間の手では不可能なことにもほとんど対応できるのが特長。非常に繊細な作業を伴うことが増えた近年の手術にはぴったりの技術です。
当院は2013年にダヴィンチを導入し、18年に最新機種「Xi」に更新しました。泌尿器科を中心に呼吸器外科、消化器外科などで使われることが多く、17年に香川初のダヴィンチを使った胃がん手術を行うなど積極的な活用を続けて、20年4月に四国の医療機関として初の症例1000件を達成。今春からは、香川県で初めて産婦人科でも活用が始まる予定です。
21年12月にXiを1台増やし、最新機種2台体制で1日2人の患者さんに対応できるようになりました。少しでも早くがんの治療を進めたい患者さんの待ち時間も短縮されつつあります。ロボット手術センターを開設したことで、ダヴィンチ手術の拡充とともに院内連携も強化。現在ダヴィンチを扱う技術を持つ医師は泌尿器科6人、消化器外科4人、産婦人科3人、呼吸器外科1人。今後もトレーニングを進めて人材を増やし、体制充実を図っていきます。

最新機種は自動化が進みより柔軟な動きも可能に

最新機種Xiは4つのアームに電気メス、カメラなどを備え、あらかじめ手術する場所を指示するだけで、あとはすべて自動で動きます。旧機種は手術する場所に人間が手動でアームを合わせていましたから、これは大きな進歩。鉗子アームの関節が増えたことと長さが10センチ程度長くなったことで、「アーム同士がぶつかって作業ができない」ケースが減り、より柔軟でスムーズな手術が可能です。
ダヴィンチが最も活躍しているのは、泌尿器科分野。特に前立腺がんは早くから健康保険が適用され、当院で最も症例数の多い病気です。開腹手術が主流だった時代、手術の負担が大きすぎる高齢の患者さんには緩和ケアで対応することが多かったがんも、ダヴィンチを使えば年齢を問わず低侵襲に精度の高い手術ができ、術後の生活の質も守れるようになってきました。体の奥深いところで極細の針と糸を使うダヴィンチの技術は、開腹手術では不可能な領域。前立腺がんをはじめ繊細な技術を求められる手術で、特に強みを発揮しています。
もちろん、がんの治療はダヴィンチのみに限りません。薬や内科的療法も近年どんどん進歩しているところ。特に検査精度の向上は、手術が必要な患部を正確に把握し、ダヴィンチのアームの位置合わせにも深く関わる重要なポイントです。適切な治療のためにさまざまな専門家がチームで臨み、医師は患者さんにとって何が一番いいかを常に見極めながら、治療に当たっています。

泌尿器科の活用例 がんの治療で活躍しています

腎臓がん

昔は腎臓を一つ丸ごと摘出していましたが、今は部分切除が主流。全摘出は術後の負担が大きく、「二つあるから一つ取っても大丈夫」は大きな間違い。できるだけ温存することを重視する上で、ダヴィンチ手術が大きな役割を果たします。

膀胱がん

これまでは早期に発見できれば内視鏡で手術、進行していれば全摘出で術後はストーマでの生活もありうる病気でした。術後の生活の質が低下するだけでなく、患者さんが高齢になるとストーマのケアが難しくなることも…。しかしダヴィンチを使えば、当院の場合は約6割の患者さんが代用膀胱(膀胱を切除したのち自分の腸の一部で新たに作った膀胱)で元通り排尿できる状態に。これもダヴィンチ手術ならではのメリットです。

前立腺がん

毎年約10万人が発症している前立腺がん。ただちに命にかかわるものではなく10年生存率も高いため、つい軽く考えてしまいがちですが、実は毎年約1万5000人もの男性がこの病気で亡くなっています。しかし、生死にかかわる病気ではないと捉え、安易に自分の判断で定期受診をやめてしまう患者さんも…。その結果、異変を感じた時には再発したがんが骨にまで転移していたケースも見受けられます。
また、術後10年以上経過したにもかかわらず再発することもありえます。死亡するリスクがある病気だと理解し、標準的な治療を適切なタイミングで受け、継続的に病気と向き合うことが重要です。「手術をしたら尿漏れをするようになる」と敬遠する患者さんも少なくありませんが、ダヴィンチ手術の導入で、尿失禁ゼロを目指せる段階になっています。


副院長/ロボット手術センター長/泌尿器科部長
川西 泰夫(かわにしやすお)

日本泌尿器科学会専門医・指導医/
日本泌尿器内視鏡学会泌尿器ロボット支援手術プロクター指導医
1982年徳島大学卒。90年から高松赤十字病院泌尿器科医師、同部長を経て、2014年から副院長も務める。




人間の体は予想外のことが起きてもおかしくありませんから、1例1例の積み重ねが非常に重要。現在1300例の経験を積んだことに一定の達成感もありますが、それ以上にこれから1500例、2000例とさらに研鑽していく技術だと思っています。特に前立腺がんや膀胱がんは、ダヴィンチ手術で「治る」「術後のストレスが少ない」病気になりました。放置せずに、標準的な治療を始めましょう。


表紙

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vol.71

最新号

「高松日赤だより なんがでっきょんな」は、患者の皆さんに高松赤十字病院のことを知っていただくために、季刊発行する広報誌です。季節に合わせた特集や役立つ情報を掲載いたします。冊子版は、高松赤十字病院の本館1階の③番窓口前に設置していますので、ご自由にお持ち帰りください。左記画像をクリックすると、PDFでご覧になることもできます。

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Columnvol.71の表紙のひと

令和6年度新人看護師

今回の表紙は令和6年春に入職した新人看護師38名です。平面駐車場で病院をバックに撮影しました。当日はよく晴れて暑い中でしたが、元気いっぱい笑顔での一枚になりました。慣れない日々の仕事にたくさんの研修と大忙しですが、前向きに取り組み一歩一歩成長する日々を過ごしています。院内で見かけたら、気軽に声をかけてください!