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花粉症についてのお話し


花粉症は、原因となる花粉が飛ぶ時期にだけ症状が出ます。代表的なものとして、スギ、ヒノキ、ブタクサなどがあります。地域によって種類や飛散時期に差があるため、いつ頃、どのくらいの花粉が飛ぶのかを知ることが大切です。

私たちの体には、異物(細菌やウイルス、花粉など)が侵入してくると、これらを異物として認識し攻撃して排除する働きがあります。これが免疫と呼ばれるものです。この免疫に関わる免疫グロブリンの一種としてIgE抗体があります。IgE抗体は、アレルゲンが体内に入ってくると、粘膜のマスト細胞(アレルギーを起こす細胞)からヒスタミンやロイコトリエンなどを放出させ、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりなどの症状を引き起こします。

薬物療法

症状が出る前に始める治療:初期療法

基本的には花粉飛散予測日または症状が少しでも出始めたら早めに服用します。シーズンを通して症状を軽くしたり、症状が出る期間を短くしたりなどの効果が期待されています。

症状が出てからの治療:重症度や主症状に応じた治療

くしゃみ・鼻水が強い(くしゃみ・鼻漏型)、鼻詰まりが強い(鼻閉型)、全ての症状がある(充全型)のどれに当てはまり、その症状の度合いによって、下記の薬を組み合わせて使用します。加えて眼の症状がある場合は点眼薬も使用します。

★主にくしゃみ・鼻水を抑える薬:抗ヒスタミン薬

ヒスタミンが神経を刺激して、くしゃみ、鼻水を引き起こします。市販薬にも含まれていますが、眠気、口が渇くなどの副作用があります。また、他の病気の薬との飲み合わせが悪いものもありますので、現在内服されている薬を必ず伝えてください。

★主に鼻詰まりに効果がある薬:抗ロイコトリエン薬など

ロイコトリエンなどが血管を刺激して鼻詰まりを引き起こします。抗ロイコトリエン薬には、眠くなる成分は全く含まれていません。

★鼻詰まりにだけ効果がある薬:点鼻用血管収縮薬

使用後すぐに効くお薬ですが、作用時間は短く、頻回に使用することでかえって鼻詰まりが強くなり、薬剤性鼻炎になる可能性があるため注意が必要です。

★鼻噴霧用ステロイド薬

くしゃみ、鼻水、鼻詰まりにそれぞれ効果があります。決められた通り定期的に使用することで効果があります。ステロイド薬としての副作用はほとんどありません。

上記以外に、アレルゲンエキスを注射や舌下から体に入れていき、アレルゲンに対する反応を弱めていくアレルゲン免疫療法という治療もあります。対症療法(アレルギー症状を抑える治療)ではなく、アレルギーを治す可能性があり、約70%に有効と考えられています。3~5年と治療期間が長いですが、症状の強い方で通院が可能であれば治療法として考えられてもよいかと思います。
鼻水、くしゃみ、鼻詰まりといった花粉症の症状は、新型コロナウイルス感染症、特にオミクロン株と共通の症状です。花粉症の症状があると、ウイルスに感染しているかわかりにくくなります。ご自身や周りの方を守るためにも、花粉症が本格化する前に受診・治療し、区別出来るようにしておくことも大切です。


表紙

なんがでっきょんな

vol.70

最新号

「高松日赤だより なんがでっきょんな」は、患者の皆さんに高松赤十字病院のことを知っていただくために、季刊発行する広報誌です。季節に合わせた特集や役立つ情報を掲載いたします。冊子版は、高松赤十字病院の本館1階の③番窓口前に設置していますので、ご自由にお持ち帰りください。左記画像をクリックすると、PDFでご覧になることもできます。

Take Free!

Columnvol.70の表紙のひと

1年目初期研修医

4月より新しく加わった10人の研修医です。今回の表紙は当院の目の前に広がる中央公園にて撮影しました。当日はよく晴れて、少し汗ばむ陽気でしたが若さあふれる元気いっぱいの一枚になりました。 まだまだ不慣れなこともあるとは思いますが、どうぞ温かい目で成長を見守ってください。