“第6波” 来る? いつ?
複数の専門家から「来年1月初旬にAIが予測した第6波の流行の山が来るだろう。ウイルスの潜伏期間を考えると、クリスマスから年末年始にかけて、どれだけ人々が遊びに出て、家族や親族での集まりでいかに広がるかにかかっている。」という意見がだされています。人流の増加の程度やワクチンの効果によっても変化しますが、今後も新型コロナ感染症の流行が来るのではないでしょうか。
政府の対策
11月12日に、政府は新型コロナウイルスの第6波に備えた対策の全体像を決定しました。感染者数がピークだった今年の夏に比べて3割多い患者さんが入院できる体制を11月中に構築し、軽症者向けの飲み薬を160万回分確保し年内の実用化を目指すことなどを柱としています。具体的には、①病床の3割増:第5波の2倍程度の感染拡大が起きても対応できるよう、都道府県に対し3割増の入院病床の確保を求めています。②自宅・宿泊療養者の対応:保健所の体制を強化したうえで、家庭内で感染が広がるのを防ぐためホテルなどの宿泊療養施設を3割増やして6万1000室確保、また地域の医療機関などと連携してオンライン診療や在宅診療、訪問看護などを行える体制を構築するとしています。③ワクチンと治療薬:12月から3回目のワクチン接種が始まります。また、抗体カクテル療法の適応が拡大され、経口薬は年内の実用化に向けて準備が進んでいます。
“飲み薬”治療薬の開発はどこまで
当院では抗体カクテル療法薬としてロナプリーブ、ゼビュディを使用できる状態になっており、今までに投与した軽症から中等症の患者さんには劇的な効果を認めています。その一方でアメリカの製薬会社メルクは新型コロナウイルスの増殖を抑えるための飲み薬「モルヌピラビル」を開発しました。この薬は重症化を防ぐ効果が示され、初期段階の患者に使える初めての飲み薬です。感染が確認されたらなるべく早く服用することが推奨され、軽症から中等症の患者で、肥満や糖尿病などの重症化するリスクが少なくとも1つはある人が対象だとされています。メルクは日本国内でも承認申請して年内の供給を目指す考えです。これ以外にもアメリカのファイザー、スイスのロッシュ、日本の塩野義製薬、富士フイルム富山化学、興和などが開発を行っています。第6波の際には、抗体カクテル療法と並んで内服薬も強力な治療手段になると思います。
最後に
当院でも第6波を見据えて院内感染対策の見直しなどの対策を講じていますが、一人一人が基本に忠実に適切なマスク着用や手指消毒を行うことが重要です。皆様のさらなるご理解とご協力をお願いします。
副院長・感染対策室長 大西 宏明