最良のIVRを患者さんに提供することを目指す
IVRとは「画像下治療」と訳され、X線透視やCTなどの画像診断をもとに、カテーテルや針を使用して行う治療です。高精度の血管撮影装置の導入により、がんや全身の血管疾患をはじめ、さまざまな病気に対し低侵襲治療ができるようになりました。当院で2020年に行ったカテーテル治療・検査は2200件を超え、県内でも症例の多い医療機関と言えます。
インターベンションエキスパート(INE)ナースは、こうしたIVRの現場で、患者さんが安心・安全・安楽に治療を受けられるようサポートする看護師たち。IVR学会とCVIT学会の合同認定で2012年にスタートした看護師専門制度で、当院では現在4人が認定を受け、救急外来スタッフとして24時間の患者受入体制に取り組んでいます。
快適な環境づくりと先を読むサポート力
INEナースたちは、施術前日に患者さんへの説明を行います。さまざまな項目をチェックしつつ、患者さんの要望や不安な気持ちを受け止めるのも重要な仕事。そこで聞き取った情報は、カンファレンスでチームとも共有し、寒がりの人には毛布を提供、暑がりの人には室温調整、腰痛や首・肩の痛みがある人には楽なポジショニングを考え、時には耳あたりのいい音楽をかけるなど、一人一人に合わせてカテーテル室の環境を整えます。
カテーテル室ではスタッフがプロテクターやゴーグルを装着していて、患者さんにとってはちょっと異様な雰囲気。緊張は血管収縮などの身体反応にもつながってしまうため、入室時には必ず自己紹介し、タイミングを見図った言葉がけなど患者さんがリラックスできるよう努めます。
合併症や副作用に対する予防や早期発見、対処法を熟知し、機材や緊急薬品を準備。X線を使う画像下治療は医療者もリスクがあるため、正しい被ばく防護知識も欠かせません。施術翌日は患者さんの声を聞き、看護の振り返りを行っています。
「カテーテル室では、患者さんの一番の理解者でありたい」と、INEナース認定看護師の清水美代子看護係長。「今まで至らなかったことにも気づき、視野が広がりました。学んだことを勉強会などでスタッフみんなと共有して、『日赤で治療してよかった』と思われるような質の高い看護を実践していきます」。