チーム医療のキーパーソンとして高い専門性を発揮
当院では2020年6月から、院内迅速対応システム「RRS(ラピッド・レスポンス・システム)」がスタートしました。患者さんの多くは、容体が急変する6~8時間前に、呼吸数や脈拍数の変化などさまざまな「サイン」を出しています。そうしたサインを「NEWS」と呼ばれるスコアに落とし込んで数値化し、リスクを判断。対応が必要な場合はRRSを起動し、いち早く対処する新たな医療安全の取り組みです。
当院のRRSは、まず主治医が対応するのが特徴です。処置などで対応が難しい場合に、RRT(ラピッド・レスポンス・チーム)が要請されます。現在のチームメンバーは、特定行為研修を修了した看護師8人と、2年目研修医たち7人。要請や相談を受けるPHSを、持ち回りで携帯しています。
特定行為研修を修了した看護師たちは、高い専門性と実践力を備えたエキスパートで、いち早く患者さんのベッドサイドに赴き、緊急性を再評価。リスクが高いと判断した場合は、MCT(メディカル・コンサルテーション・チーム)の医師に連絡します。主治医の意向を確認しながら患者さんの安全と苦痛の緩和が図れるように臨機応変に活動します。
チームの一員である宮瀬貴子看護師長は「私たちは、培ってきた知識やスキルを活かして、患者さんの安全をチームで守れるように、病棟看護師・主治医・MCTを繋ぐ調整役として機能したい」と語ります。
看護師の「気づく」力が重要!システムの浸透に手応え
2020年6月のRRS導入開始から半年間で、チームが要請されたのは9例。より気軽に相談できるように立ち上げた「RRTケア相談」の利用件数は約60件に上りました。検査部やリハビリなど他部門からの問い合わせも増えつつあり、少しずつ院内に根づいています。
「RRTは要請されてこそ力を発揮できる存在ですから、院内のどんな相談も受け入れるのが私たちの活動方針です」と宮瀬師長。「患者さんの急変を未然に防ぐのが一番。大切なのは看護師の『気づく力』を育むことです。看護師が現場で感じる違和感を数値として共有できるようになったのは大きいと思います。今後ともシステムの定着に努めていきたいですね」。