依然として流行が続く新型コロナウイルス感染症。
例年インフルエンザが流行る冬季を迎えて、ダブル流行の可能性も気になるところです。
それぞれの症状の違いや、効果的な予防方法などを、あらためてチェックしておきましょう。
Q1:どんな病気?
A.どちらもウイルス感染症。死亡・重症化リスクの差は薬の有無によるところが大きい
新型コロナウイルス感染症は、今までに報告例のあるコロナウイルスとは異なる新しいコロナウイルス(SARS-CoV2)によって引き起こされる感染症で、「COVID-19」と呼びます。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスが引き起こす感染症で、ウイルスの型によってA型・B型・C型に大きく分類され、流行するウイルスは年や地域によって異なります。1918年から流行した「スペインインフルエンザ」など、世界的に大流行し多くの犠牲者を出したケースもありました。
どちらも重症化すれば死亡する場合がありますが、現状まだワクチンや抗ウイルス薬がないCOVID-19はインフルエンザに比べて重症化しやすく、致死率も高い傾向にあります。
Q2:症状や特徴は?
A.どちらも発熱を伴い、COVID-19は味覚・嗅覚障害が出ることも
潜伏期間1~2日、症状が出てから感染力が高まるインフルエンザに比べ、COVID-19は潜伏期間平均5.6日、症状が出る前から感染力が強いことが特徴。しばしば高熱を伴うのは共通していますが、COVID-19の場合は味覚・嗅覚障害が出るケースも。高齢者や、高血圧・糖尿病・免疫不全をはじめとする基礎疾患のある人の重症化リスクが高いことは共通しています。
Q3:ダブル流行のおそれは?
A.リスクは低そうだが、油断しないで!
例年冬季に流行しがちなインフルエンザですが、2019~20年シーズンは2020年に入ってから患者数が大幅に減少、今年夏季の南半球でも大きな流行は見られませんでした。COVID-19の世界的流行で、日頃からウイルス感染対策をとっている人が増えたことが影響していると考えられます。 これを踏まえて、今冬インフルエンザが大流行するリスクは例年より低いと推測されますが、一方では混合感染の症例も報告されており、油断してはいけません。COVID-19感染予防のためにも、うがいや手洗いなどをきちんと行いましょう。
Q4:薬やワクチンはある?
A.COVID-19は未確立、インフルエンザは 予防・治療が可能
COVID-19のワクチンは臨床治験段階で開発が進行中、COVID-19のために開発された抗ウイルス薬はなく、特効薬と呼べる薬は現在のところありません。日頃の地道な感染予防を徹底することが大切です。 インフルエンザは、季節ごとの有効性は異なるものの、ワクチンが存在します。感染・発症しても1回服用すれば効果のある治療薬があり、飲み薬が飲めない人には点滴での投与も可能です。
Q5:かかったかな…と思ったら?
A.すぐ医療機関に連絡し、指示に従って受診を
インフルエンザは早期の診断・治療が重要です。「熱が出たけれど、COVID-19なのかインフルエンザなのか、それ以外の病気なのか、自分では わからなくて不安」「自宅待機で様子を見た方がいいのか、病院に行くべきなのかわからない…」と悩まず、高熱症状などがある場合はすぐ医療機関に連絡し、受診について指示を受けてください。 高松赤十字病院では、発熱症状のある患者さんには来院前に電話でご連絡いただき、来院されたらまず発熱対応専用エリアで抗原検査を行った上で、適切な外来診療科をご案内しています。
Q6:どんな予防法が効果的?
A.うがい・手洗いを徹底し、至近距離を避けて、飛沫・感染を防ぐ
COVID-19もインフルエンザも、飛沫感染を防ぐことが最も重要です。「マスクをつけ、うがいと手洗いを徹底する」「対面で大声の会話を避ける」「至近距離を避ける」などの基本的な予防法を守り、うつすリスク・うつされるリスク軽減を心掛けましょう。介護など、どうしても至近距離でふれあう必要のある場合、介護者は防護服やゴム手袋などを着用して防御を徹底しましょう。 また、お酒を飲んで会話を楽しみながら飲食をする宴会の場は、感染のリスクも高くなりがちです。忘新年会シーズンを迎えても気を緩めずに、感染拡大防止に努めましょう。
ワクチンは早めの接種を!
インフルエンザは毎年、肺炎球菌感染症は5年に1度のワクチン接種で予防効果が期待できる病気です。特に65歳以上の人をはじめとして行政の接種費用助成制度が適用される場合もありますから、かかりつけ医に相談して適切に接種することをおすすめします。 インフルエンザワクチンの接種は例年10月頃から始まります。1回のワクチン接種でだいたい1シーズンは効果が持続しますが、打ってから効果が出るまでには2~4週間かかるため、可能なかぎり早期に接種することが大切。今年まだ接種していない人も、年内を目安にかかりつけ医などで早めに接種しておきましょう。【副院長・第一呼吸器科部長 山本 晃義(やまもと あきよし)】