●そもそも「女性医療」って?
女性は、月経周期や、思春期、成熟期、更年期、老年期といったステージごとにホルモン分泌量やバランスが大きく変化し、それに伴い、心身が大きく揺さぶられます。また、結婚や育児などのライフイベントによっても、生活や環境が大きく変化します。それらの変化を考慮して、女性に寄り添う医療を「女性医療」といいます。
●女性医療でよく処方される漢方薬って?
最近では、漢方薬についてのデータが多く集められ、産婦人科診療においても漢方薬が治療の選択肢の1つとなっています。その中でも、女性3大漢方薬と呼ばれるのが、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「加味逍遙散(かみしょうようさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」です。月経前症候群(月経前3~10日間の精神的・身体的症状)、機能性月経困難症(月経に伴う腹痛、頭痛、いらいらなど)、更年期障害(いらいら、不眠、頭痛、ホットフラッシュなど)など、様々な心身の不調に用いられます。その他、不妊症や不育症、妊娠中の便秘や感冒、つわりなどにも漢方薬が処方される場合があります。
●自分に合う漢方薬をどうやって選んだらいい?
漢方薬を選ぶ上で重要なのが、その人の「体質」や「体の状態」です。同じ症状でも、体質が違えば処方される漢方薬は違う場合があります。例えば、更年期障害の治療の場合、体力が低下して冷え性があるような方には当帰芍薬散、体力があってのぼせがあるような方には桂枝茯苓丸が選ばれることがあります。他の方に合う漢方薬が自分にも合うとは限りませんので、ご注意ください。また、何種類かの漢方薬を併用した場合、同じ成分が入っていて過剰摂取となり、副作用につながる場合もあります。さらに、スポーツをされる方では、ドーピング禁止物質が含まれる漢方薬もあるため注意が必要です。病院や漢方薬局で、医師や薬剤師にご相談ください。