さぬきの健康と元気をサポートする高松日赤だより

なんがでっきょんな

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機器一新でますますレベルアップ 放射線診断・治療は次のステージへ

令和2年4月の本館北タワーの完成に伴って、院内設備も大きくリニューアルが進みました。
放射線科は当院のがんの診断や治療、血管内治療などの重要拠点。
当院において新たな検査・診断装置導入をはじめ、機器の更新やハイブリッド手術室の拡充で、これまで以上にハイレベルかつ患者さんに寄り添う放射線医療を目指します。

検査機能の強化

2方向から同時撮影できるIVR-CTやPET-CTを新たに導入し、SPECTもCTと一体化されたSPECT-CTに。院内の検査・診断環境が飛躍的に向上するだけでなく、検査に伴う患者さんの心身の負担も軽減できます。

IVR-CT 2方向同時撮影+CT搭載で検査がスムーズに

IVR(画像下治療):X線透視やCTなどの画像診断をもとに、カテーテルや針を使用して行う治療。低侵襲で体への負担が少なく、がんや全身の血管疾患をはじめ、さまざまな病気に対応できる。


血管撮影装置とCTシステムが融合した装置。①正面・側面の2方向から同時に血管撮影ができること。②血管撮影とCT撮影が同時に可能で、より小さな病変やカテーテル位置などを的確に把握できることが特長。中四国で4台目となる導入で、解像度では現状随一のクオリティを誇ります。
CTシステムは通常のCT検査にも使える汎用タイプ。撮影速度も速く、放射線科だけでなくあらゆる診療領域に対応し、脳神経外科や消化器内科など、各領域のエキスパートたちが共有して活用できます。
術中の画像からカテーテルを病巣までナビゲーションするための最新ソフトを搭載し、これまで平面的な画像を見ながら操っていたカテーテルも、今後は立体的な画像データに基づく位置分析とナビゲーションのもと、よりスムーズな操作が可能に。カテーテルと臓器の位置関係をCTで把握できるため、使用する造影剤を少なくでき、全体の検査時間の短縮にもつながります。
血管撮影もCTもX線を照射して行いますが、少ないX線量でも高画質を保つソフト、照射の際の細かい自動調節機能などが進歩していて、患者さんにも術者にとってもこれまで以上の被ばく低減が可能です。



PET-CT 地域がん診療連携拠点病院として院内検査機能が充実

PET(陽電子放出断層撮影)検査:放射性薬剤を投与して特殊なカメラで体内の機能異常を画像化する核医学検査。がんをはじめ、さまざまな病気の診断に使われる。


高い検出感度を持つ半導体検出器を搭載したPET-CT装置を新たに導入。令和2年4月において、県内では早期の導入事例となりました。地域がん診療連携拠点病院として、PET-CTは欠かせない設備です。従来は他院と連携していた検査を今後は当院内でできるようになった点に、大きな進歩があります。
少ないX線量でも高画質でデジタル化できるシステムで、画質は従来の約2倍に向上、きれいなだけでなく撮影時間短縮も実現し、検査を受ける方の負担と被ばく線量の低減にもつながります。速度可変型寝台連続移動方式を搭載、ミリ単位で撮影範囲を設定できるほか、部位ごとに細かく設定した全身撮像が可能。CT装置を併載しており、CT画像とPET画像を重ね合わせることで、PET検査における異常部位の位置をより正確に特定したり、PET検査では検出困難な異常をCT画像で確認する、といった使い方も。
※18F-FDGを用いたPET検査の保険適用は、「外科的切除が必要とされる難治性部分てんかん」「早期胃がんを除く悪性腫瘍の診断」「高安動脈炎などの大型血管炎」「虚血性心疾患・心サルコイドーシス」に限られます。「PET検査でがんの有無を診断したい」場合は適用されません。また、一般的なPET健診は基本的に自己負担です。

SPECT-CT


CT装置と一体型の核医学検査装置。SPECT装置は当院でも従来から導入している検査装置ですが、新しくなったのはCTが搭載されたこと。PET-CTと同じく、骨シンチや腫瘍シンチなど核医学検査での異常部位をCT画像と重ね合わせ、より正確な位置情報を分析できるのが特徴です。脳血流や心筋血流などの動脈硬化性疾患における重要な画像検査として、今まで以上の分解能と検査精度向上につながると期待できます。


第三放射線科部長(兼)
総合血管治療センター副センター長
外山 芳弘(とやまよしひろ)

1988年香川大学卒業、IVRに造詣が深い。放射線科の面白さは「どんな診療科とも連携でき、全身どこでも診ることができる」ところ。他科との連携が深く、ドクター同士が支え合える高松赤十字病院の環境に魅力を感じている。趣味は読書。

放射線治療装置と周辺機器

局所治療かつ低侵襲性の放射線治療は、本来「病変にだけ」照射するのが理想的。少しでもその理想に近づけていくのが放射線治療の最前線です。当院も治療装置と周辺機器の更新によって、より早く正確な治療を行える体制が整いました。

リニアック装置


当院では、最新の機器を導入し、強度変調放射線治療や肺および脳の定位放射線治療を行っています。より精度の高い、短時間での治療が可能となりました。

  • IMRT(強度変調放射線治療):病変に一定の線量を照射するも正常臓器には一定以上の線量が入らないようにコンピューターで計算させておき、多方向または回転させながら、照射野を変化させながら照射する治療。
  • SRT(定位放射線治療):X線を平坦化するフラットニングフィルターを介さず高線量を照射して病変を一度に死滅させる「定位手術的照射」(脳腫瘍などに)と、高線量ながら数回に分割して照射する「体幹部定位放射線治療」(肺や肝臓などの腫瘍に)がある。

周辺機器

高精度な放射線治療装置は、周辺機器の機能が伴ってこそ威力を発揮します。今回更新される機器の中でも重要なのがIGRT関連装置で、2方向のX線で骨を透視し、自動で人体の位置傾きを照射野に合わせたり、コーンビームCTを使ったりして正確で迅速な位置合わせが可能になります。
照射中の体動を1ミリ以下に抑える固定具や、呼吸による病変の移動を4DCTの画像で確認し、呼吸に合わせて照射を行う「呼吸同期法」や「待ち伏せ照射」など、呼吸移動対策も強化。正常臓器にできるかぎり影響を与えない照射を追求します。


放射線科医師
竹治 励(たけじ はげみ)

1982年愛媛大学卒業、90年から高松赤十字病院勤務。放射線科は他科との連携が重要で、他科主治医の治療方針を尊重しつつ、放射線治療で患者さんの症状改善に力を尽くす。休日は飼い犬とバイクでサンポートへ散歩に行くのが楽しみ。


表紙

なんがでっきょんな

vol.70

最新号

「高松日赤だより なんがでっきょんな」は、患者の皆さんに高松赤十字病院のことを知っていただくために、季刊発行する広報誌です。季節に合わせた特集や役立つ情報を掲載いたします。冊子版は、高松赤十字病院の本館1階の③番窓口前に設置していますので、ご自由にお持ち帰りください。左記画像をクリックすると、PDFでご覧になることもできます。

Take Free!

Columnvol.70の表紙のひと

1年目初期研修医

4月より新しく加わった10人の研修医です。今回の表紙は当院の目の前に広がる中央公園にて撮影しました。当日はよく晴れて、少し汗ばむ陽気でしたが若さあふれる元気いっぱいの一枚になりました。 まだまだ不慣れなこともあるとは思いますが、どうぞ温かい目で成長を見守ってください。