歯科医科連携で、 より高いレベルの診療を!
他診療科と連携してより安全な口腔外科診療を行うとともに、医科診療のクオリティ向上に貢献しています。
口腔の専門家として医科と連携
高松赤十字病院の歯科口腔外科が行っているのは、「口腔外科診療」「有病者の観血的(外科的)歯科治療」「誤嚥性肺炎の予防・治療における口腔ケア」「周術期における口腔機能管理」。いわゆる身近な歯医者さんではあまり手掛けない重症・急性例に対する専門的な治療や、他の診療科と連携した口腔ケアが特徴です。
口腔ケア意識の高さを共有
2018年度の初診患者数は789件、 院外からの紹介は701件。最も多いのは、顎の骨に埋まった智歯の抜歯依頼です。外来での抜歯手術以外に、口腔周囲の軟組織損傷・顔面骨折などの外傷、嚢胞、腫瘍などに対する手術治療も手掛け、昨年は中央手術室で 86件の手術を行いました。
外来業務は、歯科医師2名、歯科衛生士4名、受付事務1名の体制で行っています。当科の診療のなかで、誤嚥性肺炎の予防・治療や周術期のケアは特に歯科衛生士の存在が重要。院内スタッフの口腔ケア意識も高く、看護師から入院患者の口腔ケアに関する提案が出ることも少なくありません。
高松赤十字病院歯科口腔外科の大きな使命
地域の歯科医療の選択肢の幅を広げる
患者さんの多様なニーズに適切・的確に対応するためには、身近なかかりつけ医から専門的な大学病院まで、層の厚 い地域歯科医療の確立が求められます。院外のかかりつけ 歯科や大学病院と広く連携し、地域歯科医療ネットワークの 一員として、外科手術や入院治療を始め、救急医療にも対応できるきめ細やかな歯科医療を提供することが、当院の第一の使命と考えています。
院内外のさまざまな協力体制に支えられながら、「地域の 歯科医療の選択肢の幅を広げる」という役割を胸に、日々患者さんと向き合っています。
より安全な歯科医療の追求
「血圧が高い」「血の流れをよくする薬を飲んでいる」「腎 機能が悪い」といったケースをはじめ、他科と同様に歯科口 腔外科にもさまざまな既往症を持たれた患者さんがいらっ しゃいます。治療の際にはこうした既往症も考慮する必要があり、当科が主体となって治療を行う場合には、 必要であれば入院下で 内科などの診療科と密に 連携し、より安全に歯科 医療が行える環境を整えています。
医科診療の安全性向上に貢献
院内の医科が主体となる治療において、当科の口腔ケアが重要な役割を果たしています。
【周術期の口腔機能管理】
全身麻酔下での手術やがん化学療法・放射線療法の 前後に口腔内の衛生管理を行うことで、術後肺炎や口腔内感染症など合併症の発生を抑える効果が期 待できます。当院では2011年度から周術期口腔機能 管理に関する取り組みを開始し、2018年度には912 件の周術期口腔機能管理を行いました。
【誤嚥性肺炎の予防・治療】
誤嚥性肺炎は、嚥下機能の低下により口から肺へ 誤って異物が入ることから起きやすい病気です。歯科 口腔外科の役割は、口の中を清潔に保ち、感染のリス クを下げるこ と。高齢化が進み患者さんは増加傾向 にあり、今後もケア件数はさらに増える見込みです。
親知らずは早めに抜きましょう!
智歯(親知らず)は知覚神経や血管などの重要な器官と近接し ていて、抜歯は非常に注意を要する外科治療です。なるべく若いうちに処置しておくことが、将来の感染や歯並びへの悪影響な どのリスクの低下につながります。 通常は初診時にレントゲン検査、血液検査、抜歯時の注意事項の説明を行い、手術日を相談。「外来で局所麻酔手術」「入院し て局所麻酔手術」「入院して全身麻酔手術」という治療法の選択肢があり、智歯の状態、患者さんの既往症や希望などを考慮し て決定します。
歯科口腔外科部長 米本 嘉憲(よねもと・よしのり)
1992年 岡山大学卒業
高松赤十字病院赴任23年目、日本口腔外科学会専門医・代議員、日本小児口腔外科学会認定医・指導医・評議員などを務める。趣味は1960~70年代の映画鑑 賞、お気に入りの一本は『アラバマ物語』。