急性期を重点に多分野をマルチにカバー 院内連携で高度な治療を追求
当科の大きな特徴は、手術や入院治療を必要とするような急性期や重症の患者さんが多いこと。外来も半数が紹介患者さんです。
意外と広い守備範囲
耳鼻いんこう科の専門領域は、耳・鼻・ 喉だけでなく、目・脳・脊髄を除く首から上全般の「頭頸部外科」に関する疾患全般。風邪による喉や鼻の炎症など身近なものから高度な治療を要するケースまで、実はとても多岐にわたり、内科をはじめ他科との関連も非常に深い診療科です。
院内有数の紹介患者数
当院の耳鼻いんこう科は現在修練医2 人を含む医師4人体制。手術や入院治療が必要な急性・重症例が中心ですが火・水・木曜日は外来患者を受け付けていて、外来の約半数は開業医からの紹介状を持った患者さん。紹介患者数が皮膚科、消化器科、循環器科、整形外科とともに院内で五指に入るほど多い診療科です。
本館北タワー完成後は、PETーCT の導入をはじめ設備がますます充実するため、耳鼻いんこう科も鼻の手術など内視鏡手術のレベルがさらに向上する見通し。大学病院にも引けをとらない、より専門的で高度な手術を手掛けられるようになると期待が高まります。
高松赤十字病院耳鼻いんこう科の取り組みと連携
嚥下障害
病気や加齢、治療の影響などで適切に咀嚼したり飲み込んだ りする嚥下能力が低下すると、肺に異物が入り肺炎を起こすこ とも…。院内の内科・脳神経外科などと連携し、耳鼻いんこう科 も嚥下機能評価や嚥下機 能向上訓練に協力。医師 と摂食・嚥下障害看護認 定看護師、言語聴覚士が 一緒に年間約250人の嚥 下機能を評価し、一人一 人に合わせた訓練プログ ラムを作成しています。
好酸球性副鼻腔炎
最近特に患者さんが増えている病気。成人に多く、たくさんの鼻茸 ができて臭いがかげなくなる、手 術をしても再発しやすい難治性の 慢性副鼻腔炎です。院内の呼吸器 内科や耳鼻いんこう科の開業医と 連携しつつ、内視鏡手術で対応し ています。
アレルギー性鼻炎
特に症状や悩みのひどい人をケアする、開業医との連携が確立しています。ダニ・スギ花粉アレルギーに関しては、保険適用の舌下免疫療法を実施中。「舌の下からアレル ギー原因物質のエキスを服用し、 体内に吸収することで、アレル ギー反応を起こしにくい体質を目指す」という免疫療法の一つです。
声質改善
喉の疾患や声帯麻痺などで声が出にくい、声がかれるなどの症状に対して、音声機能改善手術と呼ばれる外科手術を行っています。また、頭頸部がんの各種治療に際して も、音声機能をできるかぎり温存する治療を行います。
がん治療
手術以外の選択肢も含めて、 がんに関する高い知識を持つ医療スタッフが丁寧に説明 し、できるかぎり患者さんの 意向を汲んだ治療を目指して います。
めまい
めまいの症状を訴える患者 さんのうち、脳血管障害では ないことが明らかな場合は、 耳鼻いんこう科で入院治療 を行うケースが週に1~2例あります。
鼻づまりの改善手術
外来手術の場合は開業医で行うことがほとんどです が、入院が必要な手術の場合は当院でも対応して います。
耳鼻いんこう科でのチーム医療
患者数が多い内科をはじめ、 各科との連携はきわめてスムーズ
【内分泌内科】
突発性難聴、顔面神経麻痺などにステロイドホルモン投与を行う場合、患者さんが糖尿病を患っているとステロイド薬は副作用を起こす場合があるため、内分泌内科と連携が欠かせません。
【血液内科】
血液内科でリンパ腫に関する診断を行う際、血液検査ではわからない時に組織を採取して検査する場合があり、当科も採取・診断に協力。 できるだけ早く診断を下してスピード感のある治療に貢献しています。
耳鼻いんこう科部長 森 敏裕(もり・としひろ )
1981年 愛媛大学卒業
松山赤十字病院、愛媛大学、宇和島市立病院、十全総合病院などを経て、現在高松赤十字病院で勤続15年目。昔はバンド活動でベースを担当、いつかは趣味の音楽を再開したいという気持ちを温めている。