技術とスピードで患者さんに応える 脊椎治療のトップランナー
整形外科は四肢・脊椎・骨盤など運 動器の外傷や加齢疾患、先天性疾 患などの治療や機能改善を広く扱 う診療科。 当院は内視鏡手術をはじめ、四国トップレベルとも言われる手術実績と技術を誇ります。脊椎外科の三代卓哉先生に、近年の取り組みを紹介していただきました。
年間400件を執刀する 圧倒的な実績と技術
当院の整形外科は脊椎外科・関節外科・ 手外科の大きく3つに分かれ、年間約1000件を超える多くの手術を行っています。中でも脊椎外科はその4割を占める重要分野です。患者さんの年齢も幼児から 80 〜 90代まで実にさまざま。合併症のリスクや、加齢とともに再手術が必要になる場合もあり、症状は多岐にわたります。当院では地域の開業医の協力のもと、紹介制で高度な手術治療を集中的に行っています。
平均的に脊椎外科は年間150〜 200件扱えば多いと言われる中、当院では400件を執刀。高齢患者の増加に伴い、骨粗鬆症に関連する背骨の複雑な変形や骨折など手術が難しいケースも増えています。一方、 10 〜 20 代の若い世代に多いのは側弯症で、背骨が弯曲してまっすぐな姿勢を保てない状態を、スクリューやフックで矯正する手術を行います。
三代先生曰く、「近年は、背骨も一つの 臓器と考えるようになってきました」。背中が曲がってしまった高齢者や側弯症の患者にとって、手術は症状の改善だけでなくQOLの向上にもつながる重要な治療となります。
近年は手術後も早期に動く方が回復が 早いという考え方で、術後1時間半〜翌日にリハビリが始まります。リハビリスタッフも増えて環境は充実、患者さんの合併症を減らすためにも早期離床をすすめているところです。
最新かつ堅実な治療姿勢 大切なのは予防治療
当院はできるかぎり切開部を小さくする「低侵襲手術」を重視し、全国的にも早い1999年に脊椎内視鏡手術を導入しました。体の損傷をなるべく少なくするため術後の負担も軽く、早期退院・社会復帰が期待できます。現在も内視鏡ニーズは高いものの、地域の基幹病院としては多様な手術に対応できる技術と環境を大切にしており、常に患者さんのニーズに合わせた手術方法を慎重に検討しています。
10年ほど前、手術中に重要な神経を傷つけていないかチェックできる「脊髄モニタリング」をいち早く取り入れ、椎間板ヘルニアの最
新治療薬「ヘルニコア」や近年輸入許可が下りた同種骨(生体ドナーから採取した骨)素材にも注目するなど、最先端の情報には敏感。とはいえ三代先生は「情報にとらわれすぎてもいけません。経過や効果をしっかり見据えて導入を検討しています」と堅実な姿勢です。
高度な医療を提供するだけでなく、予 防治療や運動器検診の重要性も提唱。下半身の柔軟性を鍛えるストレッチやスロートレーニング、過度なダイエットや病気を防いで骨密度を維持する生活などを重視しており、三代先生も「子供の検診やスポーツ・骨格検診などにもかかわってみたい」と意欲的です。
高松赤十字病院 の院内連携
高い評価を得ている当院の手術実績は、「合併症を抑える」「手術時間の短縮」という医療現場の意識が支えています。技術や設備力の向上はもちろんですが、麻酔科や放射線科など手術に関係する他科とのスムーズな協力体制があり、合併症のリスクや既往症がある場合は泌尿器科・循環器科・内分泌代謝科をはじめとする院内連携も欠かせません。
高齢化が進むなか、医療現場全体での トータルケアという考え方のもと、看護師やリハビリのスタッフをはじめとする多職種も、骨粗鬆症マネージャー制度を取り入れて、整形外科を支えています。
第二整形外科部長 三代 卓哉 (みしろ・たくや)
1997年 徳島大学卒業
4人兄弟の末っ子。脊椎外科の国内第一人者といわれる医師のもとで学び、三次救急やアメリカ・セントルイスで側弯症の専門医に学ぶ留学などを経て高松赤十字病院へ。年1回の国際会議で最先端の研究に触れ刺激を受けるのが楽しみ。趣味は釣りと映画鑑賞。
当院の整形外科は紹介・予約制です。
受診の際は紹介状をご用意いただき、 受診日をご予約の上でお越しください。