今回は、塗り薬の中でも、日常的によく使われる保湿剤、 ステロイド外用剤についてのお話です。
高松赤十字病院 薬剤部
保湿剤とステロイド外用剤って?
保湿剤は、皮膚の角層中の水分量を増やすことで、皮膚 のバリア機能を高める塗り薬です。よく使われるものとして、 ヘパリン類似物質、尿素軟膏、ワセリン等があります。ステ ロイド外用剤とは、炎症を抑える「ステロイド」という成分を 含んだ塗り薬で、湿疹や虫刺されなどによく使用されます。 5段階の強さがあり、疾患や症状によって使い分けられます。
「ステロイド」って副作用がありそう…。
塗り薬は、飲み薬に比べて身体へ吸収される量がかなり少ないため、全身性の副作用は少ないとされています。しか し、ステロイド外用剤の中でも、特に強い作用のあるものは、 妊娠されている方には注意が必要な場合があります。また、 症状の程度や塗る場所によって、必要となる薬の強さや種 類(軟膏、クリーム、ローション等)が異なるため、そのときに応じた塗り薬を選ぶ必要があります。塗り薬を使いたい 場合は家族や他人の薬を借りて使う、以前処方されていた 薬の余りを使うことはせず、医師や薬剤師に相談ください。
塗り薬はどれくらいの量を塗ったらいい?
目安としてFTU(フィンガーチップユニット)を使います。 軟膏の場合、FTUは大人の人差し指の一番先から第1関節に載る量で、約0.5gに相当します。これを1FTUと呼び、 大人の手のひら2枚分くらいの面積に塗ることができます。 ローションの場合は、1円玉大が1FTUとなります。標準的な大人における部位別の塗る目安量を表に示しましたので 参考にしてください。
顔&首 | 両腕 | 両足 | 胴体(前面) | 胴体(背面) |
2.5FTU(1.25g) | 8FTU(4g) | 16FTU(8g) | 7FTU(3.5g) | 7FTU(3.5g) |
いくつか塗り薬がある場合、塗る順番はありますか?
基本的には「塗る面積が広い塗り薬」から先に塗るようにしましょう。これは、病変部位にだけ塗る薬(ステロイド 外用剤など)を先に塗った後に、広く塗る薬(保湿剤など) を塗ると、正常な部分にまで先に塗った薬が広がってしま うからです。保湿剤とステロイド外用剤を併用している場合には、先に保湿剤を塗り、そのあとにステロイド外用剤を使ってください。ただし、医師から順番を指示された場合はそれを守るようにしてください。