はじめに
肝臓癌の診断においては、超音波検査が中心となります。当院では超音波診療センターを設置し、最新の超音波装置を数台整備しています。また、早期の肝臓癌の診断には、造影剤を用いた造影超音波検査が非常に有用とされていますが、当院では県下の造影超音波検査の半数以上を行っており、全国有数の検査数を誇っています。なお、造影超音波検査で用いる造影剤はアレルギーを含めた副作用がほとんど無く、透析症例にも問題なく用いることができます。当院は日本超音波検査医学会認定施設として、レベルの高い診断を保つように努力しています。
肝臓癌の内科的治療
現在肝臓癌に対する内科治療の中心は、血管造影検査を用いた肝動脈塞栓術(TACE)、および皮膚から肝臓に針を刺して行うRFA(ラジオ波焼灼術)となります。
当院では血管造影検査に関して、腹部領域では全国でも導入施設の少ない手首からの穿刺を取り入れています。通常の血管造影検査は、検査後6時間のベッド上安静が必要となり、腰痛、排泄などの苦痛を訴えることの多い検査です。しかしながら、手首からの穿刺の場合、検査終了直後から歩行が可能となり、患者さんに非常に好評です。
またRFAに関しても、全国でも導入の少ない鎮静下RFAを全例に行い、痛みを感じることなく治療を行っています(寝ている間に胃カメラの検査をするのと同じ原理で、RFAを寝ている間に行っています)。目が覚めたら治療が終了している状態となっているため、患者さんへの負担も少なく非常に好評です。
最近では他の癌(大腸癌、肺癌等)の肝臓への転移症例においても、高齢で抗癌剤等が行えない場合や、肝転移が余命を決める場合などは、ご紹介があれば血管造影やRFAでの加療も行っています。
消化器内科副部長 小川 力