診療の最前線

消化器外科

キズの目立たない「単孔式腹腔鏡下手術」

内視鏡外科(腹腔鏡)手術

腹腔鏡手術とは、おなかに4、5ヶ所の小さな穴を開けてカメラと手術器具を挿入し、モニターに映し出して操作を行う手術です。開腹手術と比べ、キズが小さく、患者さんの侵襲の少ない(負担の軽い)、痛みの少ない手術として1990年代に胆嚢摘出術を中心に行われるようになり、現在では様々な腹腔鏡手術専用の手術器械や、手術技術の進歩により、胃がんや大腸がんなどの悪性疾患に対しても質の高い手術が行われており、当院でも積極的に取り組んでおります。

単孔式腹腔鏡手術

単孔式腹腔鏡手術とは文字通り穴を1ヶ所だけ開けて行う手術の方法で、その1ヶ所のキズをおへそのくぼみを切開してつくります。この手術の利点は、痛みも少なく回復が早く、さらにはキズがおへそのくぼみにほとんど隠れてしまいますので、美容的にも非常に優れていることです。キズは吸収される糸で縫いますので抜糸の必要もありません。しかし、従来の腹腔鏡手術に比べ制限された術創より操作を行うため高度な技術が必要となります。




適応疾患


胆のう摘出術
虫垂切除術


通常の公的医療保険を適応できますので、従来の腹腔鏡下手術と料金も変わりません。


当院で行っている特殊な単孔式手術(mole method)

単孔式手術の最大の利点は整容性でありますが、整容性以外の単孔式手術に特異的な利点として、腹壁との広範囲癒着症例に対する癒着剥離術があります。
複数回の開腹手術の既往がある患者さんや腹腔内で炎症の既往がある患者さんの場合、腹腔内で癒着が起こっております。従来の腹腔鏡下手術では腹壁と腸などが広範囲に癒着している場合、安全におなかに穴を開け、専用の器具(トロッカー)を挿入することができませんでしたので、腹腔鏡下手術は断念せざるを得ませんでした。単孔式手術の場合にはカメラと手術器具が同一の穴から入りますので、もぐら(mole)が穴を掘っていくように腹壁との間の癒着を剥がすことが可能となります。癒着を剥がせた後には安全にトロッカーの挿入もできますので、開腹既往のある患者さんであっても単孔式胆嚢摘出術や胃癌・大腸癌などに対する腹腔鏡下手術も可能となる場合がありますので、お気軽にご相談ください。




ご病気や身体の状態などにより、単孔式腹腔鏡下手術が施行できない場合もありますので、ご希望の場合には担当医へご相談ください。


「単孔式腹腔鏡下手術」のお問い合わせ

「単孔式腹腔鏡下手術」のお問い合わせについては、外科外来までご連絡ください。
TEL:087-831-7101(代表)
受付時間は、午後3時~午後5時までにご連絡ください。