腎臓は尿を作る大切な臓器ですが、他の臓器と同様に、腎臓にも腫瘍ができることがあります。腎臓の腫瘍は早期の段階では無症状ですので、腫瘍が大きくなってしまってから診断がつくことが多く、腫瘍のできている腎臓を1個まるごと摘出する手術が従来の標準的な治療でした。
しかし、最近は健康診断や人間ドックなどによって早期の腫瘍が診断されるケースが増えてきています。小さな腫瘍であれば、肺癌や胃癌のように腫瘍の部分だけを摘出する部分切除術が施行可能です。腎臓は左右あわせて2個ありますが、腫瘍のできている腎臓の全部を摘出して腎臓が1個だけになってしまうと腎機能が低下します。腎機能の低下の程度によっては、将来の腎機能不足につながることがあります。血液透析が必要な程の腎機能不足ではなくても、高血圧症や動脈硬化など血管疾患を引き起こすことがあるので注意が必要です。
最近の腎臓手術は腹腔鏡を用いて行うので、従来の開腹手術に比べて傷が小さく、手術後の痛みが少ないこともメリットです。高松赤十字病院でも2010年から腹腔鏡下腎部分切除術を施行しております。この腹腔鏡手術がさらに進歩したものが内視鏡手術用支援機器、つまりダヴィンチ手術です。内視鏡手術用支援機器、ダヴィンチ手術は2012年に、まず前立腺癌手術に対して保険適応となりました。高松赤十字病院はダヴィンチを香川県で最初に導入し、前立腺癌手術に対してこれまで毎年約100人の方に手術を行ってきました。全員で320人ほどの方がこの手術を受けておられます。ダヴィンチ手術はさらに2016年に腎部分切除術にも保険適応となり、高松赤十字病院でも腎部分切除術はダヴィンチに移行しました。
ダヴィンチ手術では三次元の高解像度の画面を見ながら、ロボット支援器具を用いて手術が行われます。これによって従来の腹腔鏡手術では不可能であった操作が可能になりました。また、当院では先進の画像解析システムを用いて腫瘍のある腎臓の3D画像を術前に作成して手術に役立てています。
手術支援ロボットや画像解析システムの進歩により、7㎝以下の腎腫瘍であれば腎臓全部を摘出しなくてもすむ可能性があります。
ロボット腎部分切除術[内視鏡手術用支援機器]による腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術についてのお問い合わせ
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